たぺログ

Emily likes tennisという日本のバンドのドラムが書くブログ

ブレードランナーを観てディズニーランドのダッフィーもレプリカントじゃんと思った話

※このブログには映画『ブレードランナー2049』に関する記述があります。核心に触れるようなネタバレには全然なってないですが、まっさらな心持ちで観たい人は先に読まないようにしましょう。ていうか早く観よう。

 

ブレードランナー2049を観てきた。面白かった。あまりにかっこ良かったので主人公の履いていた靴が欲しいのだがメチャクチャ軍用だ。これ会社で履いてたら俺はただでさえオシャレがクソなので絶対おかしくなる。


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公開日の次の日に高校時代の友人2人(リビ沢くんとマゾ山くん)が、ちょうど東京におり、折角だしと誘って新宿TOHO観に行った。彼らは特にオタクではないしむしろ運動部の部長なんだけど、根性が根暗なのでオタクみてえなツラをしていて、高校時代は特にというか唯一仲が良かった。新宿TOHOのスクリーンもすごくでかくてすごく、とても良さがあって良かった。

 

僕達は一応前作のブレードランナーは観ていたが、それだけだった。凄いSF映画なんだとは知ってたし原作も読んだが基本的にはそこまで思い入れはないので普通に文句なく楽しんだ。(最後のあれどうなったん?的な疑問はあった)

しかし、ブレードランナーの如く雨の降りしきる新宿の居酒屋に行き、もつ煮を喰いながら感想を話そうとしたがあまりに予備知識が無かった為、30分で話題が尽きた。映像的に印象の強いシーンが多すぎて、おビールを飲んだ俺はもう犬が床の酒を舐めるシーン以外頭に出てこなかった。ドッグがフロアーをリックしてたね、としか言えなかった。

俺は悲しかった。俺たちは久しぶりに会い、盃を交わすことができる喜びをお互いに感じているのに、中途半端に近況を知っているし、お互いにあんまり興味もない為に話すことがないのだ。またそれは脳の老化のせいでもあるのかもしれなかった。あんな迫力のある映画を観たあとに話すことが「めちゃくちゃリアルなVRは浮気に入るか」ぐらいなのは本当に情けなかった。

 

俺は勢い余って「何か最近楽しいことある?」と聞いてしまった。「映画とか以外に先の楽しみってある?」

マゾ山が「俺にそれを聞くのか」と怒った。

 

マゾ山くんは東京に一時的に研修に来ており、遊ぶ友達がいない為毎日ジョギングをしていると語った。マゾ山くんはバイクに金をつぎ込みすぎて貯金も全く無かった。酒も飲めないのでソフトドリンクを舐めていた。

 

 俺は自己嫌悪に陥った。俺はマゾ山くんがたぶん楽しくないんだろな、と思って上の質問をしたのだ。できれば自分が安心できるような反応が欲しいと思ったのだ。彼と違ってずっと関東に住んでいる俺は、会社の同期以外にもバンドや大学の知り合いが少しだけいる。それはしょぼいけど差だった。

俺はマゾ山より優位に立てると思ったのだろうか?

 

突然だが、僕はダッフィーもレプリカントだと思う。

レプリカントブレードランナーに出てくる有機的なアンドロイドのことで、ダッフィーはディズニーランドのテディベア人形だ。

ダッフィーはミニーマウスによって造られた。ミッキーマウスが船で旅に出る時、彼が独りで寂しくないようにと願って。その想いが、ダッフィーに心を与えた。だからミッキーマウスという主人を喜ばせる、その目的の為だけにダッフィーは存在する。ダッフィーにフォカヌポウ?検査(レプリカントを見分けるために網膜を見て共感力を試す)をやったらたぶん「ネズミを燃やす」とか言っても動揺しないだろう。

 

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ダッフィーは話せるし、歩ける。日本の子供向けアニメ的な幼稚さを持ったその喋り方は、個人的には気に入らなかったが、今思えばその妙な元気ぶりも作られたものだと考えると憐れに思えた。

僕がダッフィーの境遇に悲劇性を感じたきっかけはむしろ彼に仲間が現れたことだった。

ダッフィーにはシェリーメイという「恋人」が作られた。なぜか。ただのグッズ展開か。

 
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 ダッフィーには他のディズニーキャラのように心がある。自我を与えられたダッフィーは恐らく、ミッキーのための人形でいることに耐えられなかったのではないだろうか。主人公でない人生に嫌気が差して、ミニーに泣きながら懇願したのではないだろうか。「俺にも対等に愛することの出来る何かをくれ、でなければ今すぐ殺してくれ」

見下され軽んじられ、レプリカントは自分の世界を探そうとする。それは人間と何も変わらなかった。

 

マゾ山くんはおどけて「早く死にてえ」とキレる真似をした。

俺たちは爆笑した。レプリカントのように、マゾ山は成績優秀な奴だった。

 

まだ孤独な小学生だった時、教室の後ろの本棚の前で本を読んでいると「昼休みは外で遊べ」と言われるのでいつも本を持って歩き回っていた。運動場の端っこで地面に落ちてもがいているミツバチがいて、助けてあげようと思って手のひらですくい、近くの植え込みまで優しく運んでいった。手を開くと手のひらには針が刺さっていて、ハチはフラフラ飛んで地面に落ちた。

俺は読書好きだったので、ミツバチが生涯で1度しか針を刺せないこと、その針は内臓ごと対象物に残るため刺したミツバチは死ぬことを俺は知っていた。俺の優しさはハチにとって無意味なお節介だった。クラスに馴染めない底辺の俺は小さなミツバチを自分よりも弱いと思っていた。ハチはただ怯えて本能に従い刺したのかもしれないし、お前の気紛れなんかに救われてたまるかと思ったのかもしれない。

 

俺たちは魚の頭の煮付けを頼んだ。するとボウリング玉くらいの得体の知れない頭が出てきた。そのグロテスクさはまさにブレードランナーの孤独そのものだった。新宿にこんな店があるとは新宿も捨てたものではないと思った。それをみんなで分解して食いながら僕は実家の親に「同窓会のハガキ、参加に丸つけといて」とLINEした。

 


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