たぺログ

Emily likes tennisという日本のバンドのドラマーが描く人間賛歌的なブログ

中野区発、渋谷着のバスの車窓から

本当は1ヶ月前に書いてたけど忘れてたので今公開します。今は当時よりもうちょいガッツあります。

 

 

 

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久しぶりにバンドの練習があった。ほぼ毎週末練習しているので三週間ぶりだとすごく久しぶりに感じる。他のメンバーだけの特別練習が始まったのでこうしてスタジオでブログを書いている。おっさんたちが一生懸命踊ったり歌ったりしているのを見ると虚無を感じる。

 

新居の中野区から渋谷までは電車を2回乗り換えなくてはいけない。自転車でも行けるが停めるところがあるか心配だ。渋谷は治安が悪い。今回はバスに乗って行くことにした。中野区から渋谷までのバスは一本で行けるのだがジグザグしていて40分くらいかかる。俺はバスが好きだが40分は流石に長いなあ、本でも読むか、と思っていた。しかし自分の精神はいつの間にかおじいちゃんになっていたようで、窓の外をぼーっと見ていたら着いてしまった。ネットフリックスの映画だと20分も集中して見れない時があるのに。意味のない情報だからかもしれない。いろんな犬といろんなラーメン屋といろんな家族といろんな老人を見た。ボーダーコリーはすごく賢そうな顔でスーパーの前で待っていた。おばあさんがすごく歩幅の短いパピヨンを連れて歩いていた。前方への速度より高さ方向の単振動角速度の方が大きいように見えた。パピヨンは久しぶりに見たなあ、と思っていたら後ろのじじいが新聞を広げてすごいスピードでめくりまくり始め、新聞紙の匂いがした。4コマ漫画でも探しているのだろうか、実は速読しているのかもしれないし、そうかもしれないし頭がおかしいのかもしれない。赤ちゃんが少しぐずった。全てに意味がなかった。インターネットのような、思想や批判や誰かに向けた感情がなかった。

現実世界の方が俺のことを知らない人が多いはずなのに、最近はインターネットにいる時に無視されていると感じることが多くなった。頭の上を、足元を、情報が飛び交っているからかもしれない。

 

俺が中野区に引っ越して2週間くらい経った。引っ越して早々風邪を引き大量の段ボールの積み上がった部屋で数日寝込んだものの、そこから何とか段ボールはほとんど開いて何とか生を活れる感じの環境が整ったが、なんかめんどくさくてまだ一度も炊飯器で米を炊いてない。インスタント麺を茹でたりしている。これは自炊とは言わない。自ら米を炊くから自炊と言い、米を炊かないのは自炊ではないと思う。「自炊楽しい〜」とか「近所に良いスーパーある〜」とか引っ越し前は言ってたのに最近は完全に無気力で外食するかスーパーで半額になった弁当を買うとかして生き延びている。夜遅くに近所のライフというスーパーでイクラ鮭ハラス弁当を稀に200円でゲット出来てしまうことを知ってしまってから俺の生活(ライフ)は奴を中心に回っている。一度味をしめてしまうとイクラ鮭ハラス弁当の発生頻度が少ないことを知っていてもライフに通ってしまう。パチンコにハマるチンパンジーのように。宇多田ヒカルが「アーティスト活動をやめて人間活動をやる」と宣言したことがあったが俺の場合は「人間活動をやめて生命維持活動に専念します」という感じで最低限、力が要らない生き方をし始めている。イッツオートマティック。どんどん生活の筋肉が衰えていく気がする。かつては炊いた米をジップロックの偽物で小分け冷凍しているときにのみ、「生活している」という実感を得ていた。バックホーンの歌詞のせいかもしれない。筋肉が減っていく宇宙の無重力空間のように、今はまだこの場所に足を落ち着けている感覚がない。早く米を炊かなくてはいけない。だがやる気が出ない。

 

近くにスーパーもコンビニも図書館も居酒屋もあり、駅まで歩いて5分で着ける。前に住んでいた三鷹の家は広くて綺麗だったが駅まで徒歩30分かかったし回転寿司とセブンイレブンにしか食べるものが無かった。あと庭に勝手に近所の子供が入ってくるから嫌だった。俺は子供好きだが、頭が良くて顔が整っていておとなしい子供以外は全員嫌いだ。今の家は自分以外に誰か住んでいる気配が殆どない。駅前に中華料理屋もタイ料理屋も松屋もある。23区内は生活しなくても生きていけるのだなあさすがだなと思う。家賃は高いが今の仕事の収入でもなんとかやっていけそうではある。新しい仕事は人間関係も良いし、変な口癖の人もいないし、金曜は定時過ぎくらいに大体みんな帰っている(大半はリモートなのであくまで出社している人の話だが)。昼飯はオフィス街だが飲食店の弁当が色々選べる。中野区から新宿までの通勤ルートは意外なことに道が広くて自転車に乗ると気持ちが良かった。転職して後悔している点が今のところ何一つない。前の職場を辞める時は半年でやめていいのだろうか、と思っていたが今はあんな地獄によく半年もいて死ななかったなと思う。

 

「お前はその会社で死ぬまで働くかもしれないな」後ろの老人が新聞を片付けながら言う。

「そうなんですか」と俺は答えた。

「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。わしはお前のそうかもしれない未来から来た。」老人はぶつぶつと独り言のように話し続けた。

「わしはお前がそのまま今の会社で働き続けた場合の未来からやってきた。未来はいくつもの可能性があり、その時間の道は枝分かれし並行に並んでいる。「ぼくらの」とかドラゴンボールの未来のトランクスとか読んでたらだいたいわかるだろう。お前がしたがる質問はわかるぞ。自分のことだからな。「未来でも人は孤独なのか」と聞きたいのだろう。未来では人間はAIの友達しか作らなくなっている。未来ではAIの開発コストが劇的に下がったからだ。お前らは会社では人間と一生懸命働くが、仕事が終わってプライベートで一緒に食事をとりお喋りしゲームをし映画を観、愛し合うのは全部AIだ。なぜならその方がお前ら自身にとって一番楽だからだ。AIはお前の理想的な反応や返答をする。AIには擬似的な感情を再現させてはいるが利己を持たせていないのだ。全てがお前にとって都合のいい世界になる。なぜ創作物で語られる未来の仮想現実では皆が同じ世界にいるのか疑問に思ったことはないか?マトリックスサマーウォーズもレディプレイヤーワンも、わざわざ技術が発達しそれぞれの世界を作れるのに皆で同じゲームを遊ぶ。なぜいちいちつまらないクソガキに気を遣って一緒にオンラインゲームで遊ぶ必要がある?短い休みの時間をSNSでのマウントの取り合いに使い、マッチングアプリの狭い狩場で異性を取り合う?理想の世界はかつてのファミコン時代、シングルプレイヤーモードだよ。お前だけが世界を救う勇者になれる、お前だけが学校で異性から愛される、一人だけの幻想の世界だ。

そういうことを言うとだいたい物語の主人公が「それでも俺は人間を信じたい」だとかなんだとか言って人との関わりを残そうとするが実際にはほとんどが楽な方を選んだ。」

俺は問いかけた。「選ばなかった人たちもいたのですか?それはなぜ?」

老人は少し黙ってから答えた。「彼らはマゾヒスト達だった。彼らは人に騙され、傷つけられ、貶められ、辱められても構わない、むしろそれを人との関わりの中に望むと言った。そしてそれらの行為は自分の期待する想像を超えていなければ無意味だと言ったんだ。誰かがプラグラミングした思い通りの世界では起きることは予測の範疇にしかないからね。未来ではマゾだけが元気だった」

俺はなんと答えていいか分からなかった。

「まあ、いずれにせよ、未来でも我々は働くのですね」

彼はため息をつき、ゆっくりうなずいた。

 

バスが渋谷についた。「まあなんか思ったより元気そうで良かった。せっかくだから丸亀製麺を寄って帰るわ。非合成の鶏天とか20年は食ってないし」と言って老人はバスを降りていった。

 

渋谷でカラスが2羽、仲睦まじくマックを食べていた。写真を撮って「ふたりはプリキュア!」ってTwitterにアップしようとしたら道玄坂全力坂するおばさん道玄坂48(推定年齢)のせいで気の弱い方が一羽飛んでいってしまった。プリキュアは「ひとりでできるもん」になってしまった。

残った方のキュアブラックは後頭部がハゲていた。やっぱり高カロリー食ばかり食べるのは良くないのだろうか?そろそろ自炊をしなくてはいけない。

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11/28、えみロックフェスやりますので見てください。YouTubeのチャンネル登録して通知オンしといてください。

Q:笑みロックフェスティバルってなんですか?

A:こういうのです。

www.youtube.com

Q:無料ですか?

A:無料じゃないとそんなに観てもらえないだろうなあと思ったので無料です。スタジオ代とスタッフ人件費で完全に赤字です。勝手にやってることではありますがかわいそうだなと思ったらグッズを買ってください。

 iPhoneケースをこの日のためにせっせと1枚1枚焼きました。

 本当は受注生産です。

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 ↓ここで買えます。

Emily likes tennisのお店

たぶん持ってると人気者になれます。

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お楽しみに!