肉は俺たちを救ってくれる。
会社の忘年会では救われない。あれで救われるのは管理職だけだ。
2017年の漢字は「肉」だ。
2018年の漢字も「肉」だ。
年号は「レア」が良い。
いきなりステーキは旨い。実際のところ。
知っとるわ!と言われても俺はそんなに知らなかったのでしょうがない。俺はにわかいきなりステーカーだ。
渋谷で初めて食った時は何じゃこれ硬い!と思ったのだが、あれはどうやら焼きすぎだったらしい。俺が悪いのか、店が悪いのかはわからないが、もうどこの店が美味いとかそんなことはどうでもいい。家の近所に良いいきステを見つけたので、もうこれからはそこにしか行かないからだ。いきなり平日に食えるから「いきなりステーキ」なんだよ。店によっては夜にワイルドステーキ(貧者の肉)が食えないらしいので恐ろしい。ワイルドステーキくらい安い肉が食えないならいきなり行くような勇気も出ない。
(2018/3/12 追記:その後、渋谷の南口近くの桜丘店でリベンジを果たしました。夜でしたが乱切りカットステーキがあり、食べましたが美味しかったです。硬かったのは俺が悪かったようです。ただリブステーキはどの店舗でも硬くなりやすい印象があります。)
これがワイルドステーキ。
あと体力ないので椅子がない店も無理です。俺がドラムをやってられるのはライブの時間中ずっと座っていられるからだ。
先週、ボーナスが入ったし、まあ別に、どうせボーナス入ろうが入らなかろうが奨学金返さないといけないから食うのは一番安いワイルドステーキなんだけど、それでも贅沢しようと思って、みんな大好きいきなりステーキに行った。学び直しなんて制度やらないで奨学金を無償化してくれればもっと良い肉を食えるのだが…。
最近は仕事が大変だった。
会社でずっと放置されていたせいで誰も動かし方を知らない機器があって、それを動かせるようにしないといけないのだ。なんのアテも無いくせに納期もキツかった。社内での呼び名を使うと社バレするので取り敢えずキングゲイナーとするけど、キングゲイナーはソフトだけが新しく開発された。しかし誰も動くかどうかは知らなかった。わかりやすく言うなら、犬の体に進化した人間の脳みそを入れてみたんだけど、どうかな?ってことだ。
誰も動くかどうかなんて分からなかった。脳みそが死んでる可能性もあった。
製造者は会社を辞めていた。俺だって辞めたいよ。
だが何週間も残業して、色んな当時の人達に聞いて、脳みその色々なところに棒を突き刺したりして、遂にキングゲイナーは動いた。パッと表示が出た時、俺はみんなが帰った実験室で一人叫び声を上げて椅子から転げ落ちた。キングゲイナーは無理矢理犬の体に閉じ込められて、それでもなんとか生きていた。
「ウワー!」
「ウワー!ウワー!」
そして、
「今日はいきなりステーキだ!」と思った。
キングゲイナーを適当にその辺に投げて俺は退社した。
いきなりステーキにいきなり行こうと思った日は景色が違って見える。
いつもは陰鬱な通勤電車も、いきなりステーキへのレッドカーペットのようだ。
赤は生肉から滴る血の色だ。
シャカシャカうるせえチンピラのイヤホンも、「ああ、きっとお金がなくて安いイヤホンしか買えないんだなあ」と哀れみの気持ちで見れる。早く500円くらいでカナル型のが買えるといいね。俺はそれより高いワイルドステーキを食べるけど。
LINEでいきなり「いきなりステーキ行かない?」と誘ったにも関わらず近所に住む大学時代の友達も「いきなりステーキ行くぜ!」とのことで、一緒に行った。奇しくも友人はいきなりステーキ連続3日目であった。
付け合わせの野菜は無料で変えられるのだがコーンをじゃがいもにするのをその日は忘れた。まあいいだろう。俺は笑顔だった。
俺はワイルドステーキ300gが来た瞬間にステーキソースをいきなりぶっかけた。俺は文明人ではないので肉はレアが好きだ。いきなりステーキでは出てきた瞬間にいきなりソースをぶっかけることで鉄板の温度を下げ、レアのままで喰うという野蛮なメソッドが存在するのだ。めちゃくちゃソースが跳ねて俺は体中を火傷した。紙エプロンで覆えばよかった。これではどっちが腕でどっちがステーキかわからない。それでも俺は笑顔だった。
そこに肉があるから。
そして俺は野蛮人であると同時に現代人なので腹が弱い。だから牛肉でしかレアは食えない。この機会を逃してはならない。
俺は食った。
ここぞとばかりコーラも飲んだ。
こんだけいきなりステーキへの愛を語っておいて俺は肉マイレージカードを持っていなかった。なぜならいきなりステーキを愛しすぎるが故にいきなりステーキに行き過ぎてお金と健康な体を失いたくなかったからだ。俺は自制心がない。
俺はステーキにジャブジャブとソースをかけるし、おろしニンニクもクソほど入れるから、絶対に体に良くないのだ。あと正直、スーパーで買って家で肉焼いたほうが安いし…。
だがこの日の俺は違った。もういいや、と思ってしまった。一線を越えた。
俺は肉マイレージカードを作った。
きっとコイツは、すぐにゴールドカードになるだろう。
俺は苦しみの数だけいきなりステーキに行くから。
涙の数だけ強くなれるのは、泣きながらいきなりステーキに行くからかもしれない。
かつて、いきなりステーキに対して不信感があった。
あれは金持ちが行くところだと思っていた。
だってただでさえ一回2千円以上は絶対使うことになるのに、奴らは高い肉を400gとかガンガン分厚く切って焼いているんだぜ。
二郎にはホームレスみたいなデブがたくさんいるけど、いきなりステーキには与沢翼みたいなデブがたくさんいるなあと思っていた。
でも彼らも、僕や与沢翼と同じで悲しいんだろうなと思った。
悲しいから肉を食べるんだろうな。
スピッツは愛はコンビニでも買えると歌った。
2千円で買えるなら安いものだ。
僕達は肉を噛み締めた。
肉も僕達を平等に抱きしめた。
金持ちも、デブも、にわかも、社畜も。
僕達はみな、肉から生まれた、肉の塊だから。
そして僕達は心で泣いた。
みんなで泣きながら食う肉はαγάπη(アガペー)の味がした。
年明け最初はこちら。俺達、YOIMACHIファミリーになれたのかな?
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新曲はめちゃくちゃすごいです。