たぺログ

Emily likes tennisという日本のバンドのドラマーが描く人間賛歌的なブログ

SIerの会社説明会に行ったら「君は採用しない」と社長に言われた話

明日は吉祥寺でライブなんですが吉祥寺は遠いのであまり思い出がなく、ライブに出た以外だと今は無きバウスシアターで「オールナイトで昭和のゴジラを観る」という中年の汗臭そうな用事でしか行ってないので(幕が上がってゴジラの足音とともに缶ビールを開ける音が鳴っていた)全然関係ない話を書きますが明日のライブは是非来て下さい。一応その宣伝のために書いていますので気になりましたらよろしくお願いします。その際は「ブログ読んだよ」とお伝え下さい。

 

 

メインの話自体は大した事件でもないしょうもない話なので少し回りくどい感じで始めさせて下さい。ちなみに最近は「この記事は2分で読めます!」みたいな異常な程の気の回し方をしているキュレーションサイトがありますが今回は4500字を超えているのでかなり暇があっても読むのはキツイです。

 

もうずっと会社に行きたくないので色んな現実逃避を代わる代わる考えている。

FX、株、ビットコイン、起業、農業、全て妄想して全て何の行動にも移さず(FXと株とビットコインの口座だけ開設した)、その可能性を模索だけして繰り返される生活を渡り歩いてきた。

 

で、最近のマイブームは「リモートワーク」である。

家に居ながらにして仕事ができるというやつだ。電車に乗る時間を削減出来るだけでなく口の臭い上司に無駄話を振られたり元々自分とは関係ない仕事を振られて残業させられ挙げ句の果てに飲み会に誘われて親とほぼ同い年のオッサンと割り勘させられることがなくなる(気がする)素晴らしい制度だ。誘ったら払え。払わないなら誘うな。

そもそも家が大好きで家から出たくない俺にはぴったりである。自由時間が増えればバンドの予定も入れやすいし。

 

まあ、もっぱらハードウェアがないと仕事ができない弊社には無関係な話なのですが、数年間くらい頑張ってWeb系のプログラミングとか勉強して転職出来たら良いな〜、という妄想を通勤電車と昼飯の後の休憩時間と寝る前に考えている。でも家に帰って勉強する暇があっても圧力鍋でつい肉を煮込んでしまう。今の俺にはExcelでセルの並び替えをするマクロを組むので精一杯だ。それでも古臭い会社なので表彰状が貰える。金は飲み会代程度しかもらえない。

 

そもそもSEなんてそう気安く手を出していい職業ではない。俺はSEの父に「SEにはなるな」と言われているのである。確かにグーグルなどの年収高そうな理系企業といえばSEだし、賢そうで輝かしいイメージはあるし、なんかノマドワーカーとかスタバでマックでカッコイイし(僕もスタバでマックを開いたことがあるけどTwitterしただけだった)、なんかヤバそうだ。つまり何を具体的にやっているかはさっぱりわからんのである。その昔、父に「SEとはどういう仕事なのか」を聞いたら「説明が難しいのでコレを読め」と言われ「13歳のハローワーク」を渡されたことがある。システムエンジニア、の項は非常に長くて、一生懸命読み切った結果、サッパリよくわからなかった。

 

そういう訳でなんか憧れが有りつつ距離を保っているSEという職業だが、昔一度、就職活動で志望していた時期があった。今僕が入社3年目なので、もう3年も前の話である。

志望していた理由はやはりバンドだ。バンドを続けるには転勤は無理だ。

理系で、関東勤務で、転勤がない条件で、物理学科出身の学生が入れる会社というのはとても少ないのだ。ただ、SEなら別である。どこでも出来るし、大きな工場も要らない。 

 

そんな中で出会ったのが「アXXXXXX」という会社だった。

(以下、ア社)合同説明会という色んな会社が集まって会社の説明をする会でも、その会社はとても目立っていた。説明のテンションが高く、明るく、ちょっと引くくらい頑張って勧誘していたのだ。今思うと新興宗教みたいだった。そして、渡されたチラシに「立食説明会」と書かれていた。

特に就職活動を始めたばかりの僕は、就職活動に過剰な恐れを抱いていた。「内定がもらえなかったら死んでしまう」くらいに考えていた。だから、出来るだけ多くの会社の催しには参加したし、それが少しは内定に有利に働くと信じていた。会社側も、いきなり応募してきた就活生より、何度か話をした就活生の方が信用できると判断するだろう、と思ったからだ。なのでその説明会が費用を取ると聞いてもその時は何も感じなかった。1千円ちょっとで内定に近づけるなら安いものだと思った。

 

下調べをすると、ア社は有名で大きな会社らしかったし、仕事もインフラ系や国やら立派な事業をやっているらしかった。なので実際に内定を貰ったら他は蹴ってもいいかもしれないなくらいに思っていた。

 

立食会には全部で5名程度しか就活生が来なかった。僕はチャンスだと思った。少ない人数の中でなら自分をアピール出来る。それでこそ参加した意味があるというものだ。だが、一人やたらとテンションの高い女の就活生がでかい声で周りの就活生や人事に話しかけていた。その女はかなりウザかったが、この会社は皆和気あいあい、アッパーなオタクサークル的な雰囲気だということは先の説明会でもわかっていたので、そのイメージには沿っている。空気を読んで合わせているのかもしれん。なかなか強敵だなと思った。

 

まずは動画による会社の説明が始まったが、大きな会社と取引しているしっかりした事業の一方で、かなり独特な制度を数多く採用している革新的な会社らしかった。あまり具体的な話を書くと会社がバレるので割愛するが、「昼休みは皆で勉強会をする」「仕事の後も一年目は寮で勉強会をする」「月に一回席替えがある」とかそんな感じだった。

今の俺だったら「勉強?ハア?給料よこせや!」と叫んで暴れるだろうが、当時の僕は「THE・就活生」だった。そもそも普通の神経のやつが面接なんて狂った状況に耐えられる訳がない。なんできたねえオッサン数人VS1人で座らされて相手の聞く事に全部理想的な噓を返さなければいけない拷問を何回も何回もやらされるのか。わけの分からん写経を繰り返してやたら高い写真を貼り付けて提出して、大学名だけ見て捨てられなければならんのか。そんな疑問を全く持たず、「私はこちらの会社の理念に共感しました」と笑顔で言える意識高い系就活生だったのだ。自分を自分で洗脳しなければサラリーマンにはなれない。むしろ僕は感動していた。「なんて素晴らしい会社なんだろう。」「ここでなら僕は自分の可能性を伸ばすことが出来る」「会社もそれをサポートし、僕もその能力で会社に貢献できる」「やりがい」「スキルアップ」「生きがい」

僕が感動している後ろでさっきの女が途中退出した。ワインを飲みすぎてトイレで吐いているという声が後ろから聞こえてきた。コミュニケーションスキルが高いと思ったのは買いかぶりだったらしい。ちなみに女はそのまま戻ってこなかった。

 

そこでおもむろに社長が現れた。

悟空の声優に似ていた。やり手の女社長らしく、プロジェクターで輝かしい経歴の描かれたパワポが壁に映される。ハーバードだかケンブリッジだかわからんけどMBAを取ったらしい。すごい。

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そして就活生達の自己紹介タイムが始まった。皆学歴は高かった。T工大やら、なんやら、ただ受験が難しいだけではない、即戦力になりそうな、そもそも会社と共同で研究とかしてそうな感じの、専門知識レベルの高そうな、チェックシャツ眼鏡達だ。

だが彼らは常識レベルのコミュニケーションスキルすらなかった。残念ながらどんなに仕事ができても、会社とは一人で働く場所ではないのだ。お互いに話ができないと文字通り”お話にならない”。そんな天井とか壁の方を向いてブツブツ呟いている様では大学名しか分からん。一生ニコニコ動画でも見ていればよい。

 

僕の番が来た。僕は大学では全く真面目に勉強したことがないため学力レベルは高校卒業時で止まっているが、適当に研究の話でもしとけばスケールだけはでかい感じがするだろうと面接と同じように話し始めた。僕はこの頃既に自己紹介を1分か3分どちらでも暗唱できるようになっていた。「私はXXXXです。大学はXXXで〜」

すると女社長が信じられないことを言った。

 

「ああ、君は採用しないから」

 

「え?」「XXX大学の子は取らないようにしてるんだよね」

一瞬で色んな可能性を考えた。1秒位の間に「学歴が足りないのか」「研究分野が遠いのか」「学長と仲が悪いのか」「卒業生と離婚したのか」「夫が卒業生と浮気したのか」「僕の顔が気に入らないのか」「聞き間違いか」など本当に色々考えた。湧き出たと言ったほうが近い。

だが正解はもっとシンプルだった。

「XXX大学の子ってうちの内定すぐ蹴るからさ〜」

え〜そんな理由…

 

後の話は何も頭に入ってこなかった。他の人事が何かフォローするようなことを言っていたが全く無意味だった。面接ですらないのに人前でこんな失礼な言い方をされたことに怒りすぎて頭の中が真っ白になった。一瞬で僕の中でハリボテの「高い意識」は砕け散った。残った瓦礫には「会社はクソ」とだけ書かれていた。

説明会が終わって逃げるように部屋を出た。出口で人事が「今後の会社イベントの連絡をさせて頂きますので〜」と慌ててアンケートを突き付けてきたが「コイツ正気か?」と思った。ブチ切れてやれば良かったがそんな余裕もなかった。無視して通り過ぎた。

 

エレベーターを降りてひと息つくと虚しくなった。後ろからさっきのコミュ障T工大生の一人が来て「どうでした〜」とヘラヘラ話しかけてきた。「僕、なんか悪く無さそうだし受けてみようと思うんですよね〜」と言うので「そうすか」とだけ返事をしてそそくさと帰った。俺が言われたこと聞いてなかったのか。

 

その後も就活続けてたら今のところになんとか受かった。やたら意識の高い洗脳研修で皆が泣き出すので僕も感動して後で後悔したので乗せられやすい癖は治っていないらしかった。またハリボテの高い意識が鎮座した。が、3ヶ月ほどで研修が終わり今はどこか押し入れの中に消えてしまった。

 

僕はディズニーアニメを見て育っているので、基本的に素直な人種だ。

だからは多分向いてないだろうなと思う。意識高いところ。乗せられやすいので。いや、逆にサラリーマン向いてるのかな。

でもExcel VBAが使えたら入れて、リモートワークが自由にできる会社があったら教えてください。あと有給は使い切りたい。

 

ではまとめに入ります。


今回のお話の教訓


・人はすぐには成長できないということ。
僕は意識高い系就活生になり勉強もサークルも何もかも適当にやってた自分を、忘れたかのようにリセットしようとした。でもこれまでの蓄積はそう簡単に変えられるものじゃない。きっと僕はこの意識高い系会社に入ったらそのうち潰れていただろう。型にハマった生き方というが、無理やり型に嵌めようとして僕の人格は粉々に割れていたかもしれないのだ。人間そんな簡単に型に嵌めることはできないし、すっぽりハマれる型があるならその会社で良いじゃんということだ。変わりたいなら自分に合った環境で少しずつ変わるべきなんじゃないのか。僕は最終的に意識が低い会社で自堕落にやっているが、もっと意識が低い会社ないかな~と探しています。
・失礼なババアはクソ
調子に乗ってるババアは全員ぶん殴れ。犬の糞をぶつけろ。転職ドットコムで低評価をつけろ。クソババアくたばれ! 

え?そういう話じゃなかったよね、そう思うかもしれませんが何事も謙虚に結論づけた方が性格が良さそうに見えるのでこれで良しとさせて下さい。

 

 

あとライブの告知が有ります。

 

8/26(Sat) 吉祥寺warp

「DESTRUCTION PARTY vol.2」

開場 15:00/開演 15:30

前売り 2,000円/当日 2,500円(+1D500円)

出演:ペドラザ、神々のゴライコーズ、MEAT EATERS、しゃっく、逃亡くそタわけ、NEW FRONT SPARL、Teenager Kick Ass、UlulU、突然少年 and Emily likes tennis

 

出番は7時半です。

 

 

 

トランスフォーマー観たら全部ロボットに見えてきた話

今、秋葉原CLUBGOODMANに向かう電車の中でこのブログを書いています。

 

ライブ宣伝ブログとして書き始めたこのブログも、ライブの出演3時間前に書くようになっては最早本来の目的を完全に見失ってしまったと言わざるを得ない。そもそもブログを読んでライブに行こうと考える人間なんて居るのだろうか、僕は行かない。僕はYouTubeで曲を気に入ったバンドしか見に行かない。猫とインコが戯れる動画の方が再生回数が多い。

 

LINEモバイルに乗り換えた感想とか、VR新宿行った感想とか、プロジェクターを一年使ってみた感想みたいな、アフィリエイトブログっぽいテーマはたくさんあるのですが、最近は暑すぎて何もやる気がしないし、LINEペイは確かに還元率2%で超お得でみんな勧めてくるし、俺の下の名前に似てるから興味あるんだけど、でもどうせそのキャッシュバックより、2ヵ月に1回部長の飲み会を断る勇気出した方が高いじゃないですか。だからトランスフォーマーが面白かった話をします。

  

なんで自転車屋のお兄さんはあんなに自転車のことを大事に思ってるのか考えたことはありますか?僕はあります。先日、自転車に乗っていたらパンクしたので自転車屋に持っていったら、「もっとちゃんと毎月空気を入れてください」って言われたんですよ。

でも僕は「三日前に空気を入れたばかりなんですけどね~」と事実だけどちょっと嫌味っぽい言い方をしてしまったんですよ。そしたら「じゃあそれはもう遅すぎたんですね、とにかく空気をちゃんと入れてくださいね」とすごい早口で言われたんですよね。

これは言い方の問題なので伝わらないと思うんですけど、言ってることは恐らくお兄さんが正しいんですけど、このお兄さん、なんかちょっとサイコパスっぽいな~と僕は思ったんですよ。ていうかこういう話、僕はたまに聞くんですよ。

特になんかロードレーサーっていうんですか?あの細い高そうな高いチャリとか乗ってる人は自転車屋に持って行くと使い方に関してとても怒られるんだそうです。

 

最初は、このお兄さんは自転車に育てられたのかな?と思ったんですよ。明らかに、お兄さんは目の前の僕より僕の自転車を大事に思っていたんですよ。出会ったタイミングは同じはずなのに。たぶん、お兄さんの両親は幼い頃に順番に蒸発して、(しょうもない話にしょうもない蛇足で申し訳ないのですが絶対今話したいので書きます。小学生の頃、親が「蒸発」って本当に気化してるんだって思っていたのでひどい病気とか放射能で人間は気化するんだと思ってました。ウルトラマンの話とかでありそうですね。終わり)独りで街をさまよってたら、その薄汚れた夜回り自転車に出会って、初めは、孤独には慣れていたし、むしろ望んでいたし、誰かを思いやることなんてわずらわしくて、でもそんなお兄さんを抱き抱える、自転車のサドル。産まれて初めての優しさが、温もりが、合成皮革の感触が、まだ信じられなくて…万引きとかマクドナルドのごみ捨ての時間とか、生きていく方法を教えて貰って、将来は一緒に家を建てて暮らしたいって話してたのに、ある日違法駐輪してたせいで撤去されて、大人になって図書館のネットとかで調べて違法サイトで戸籍とか買って今は隠れて暮らしてるんだけど、やっぱり自転車のためになる仕事をしたいのかなって。

でも、現実的に考えて自転車には難しいだろうなーとは思ってました。

だから、こないだトランスフォーマーを観てから僕は自転車屋のお兄さんとかおじさんは、トランスフォーマーなんじゃないかな?と思うようになりました。トランスフォーマーの新作には人型のトランスフォーマーが出てくるんですよ。だから行けるなー、と思って。トランスフォーマーって僕は1しか観てなくて、しかも途中で絶対ウトウトしてしまうんですよ。中高生の恋愛とかみたいなの基本的にあまり好きじゃなくて、ロボットとかエイリアンの殺し合いとかばっかりやってくれるならいいんですけど…。

で、今回のやつは5つ目なんですけど、4から新しいシリーズだっていうから4だけ見てから行ったら全然余裕でした。ていうかどうせ意味わかんないし、映像凄いだけの映画なので普通に面白かったです。ただ途中で目が疲れたし眠くなりました。3時間も映画観れねえし、絶対カットした方が良いシーンあったし、皆トイレ行きまくってたけどそれでも問題なさそうな映画でした。メカキングギドラじゃん!って感じで。

ギャグとかは割と意味不明だし、オススメするかと言われたらわからないけど寝ながらでも観れると思うので超贅沢な暇潰しにはオススメします。カーチェイスはほぼ実写らしくてクソバカだなーと思いました。友達と小さい声でツッコミながら観よう。

 

ということで今日のライブ来てください。無理ならYouTubeで可愛い猫の動画を教えてください。

 

東京ボアダムに行って予備校生時代を思い出してしまった話

※案の定、気付いたら東京ボアダムのことはほとんど書けませんでしたが1千円で良いバンドが見れる、安くて多くて安心という感じのイベントなので是非オススメです。

また、久しぶりのフロア(客席でやる)ライブということでドラムの後ろからとか変な視点から見るとVR的なエンジョイも出来ると思います。今週の土曜日(6/17)です。

 

 

 

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 開放ステージというのもあるらしいので飛び入り出演もできるぞ。

 

ボアダムと僕

東京ボアダムと聞くと予備校に通っていた頃を思い出す。退屈(boredom)だったからではない。むしろ精神状態的には東京ジェノサイドとか東京サクリファイスって感じだった。

 

初めて東京ボアダムに行ったのは大学生の頃だ。「なんか楽しそうなイベントがある」と聞いてサークルの人達と一緒に電車で横浜から駒場までゾロゾロ見に行ったのである。

場所は日本の学歴ヒエラルキーの頂点・東大であった。イベントそのものはバンドも良いし、ステージが二個あって転換が無いのでスピーディで良いし、非常階段というノイズミュージックの怖いバンドもギターでお客さんの頭を叩き割るのかと思いきや優しくコツンとするだけだったので安全で良かった。良いことづくめのイベントであった。

しかし、インテリキャンパスが生み出す偏差値圧力にあてられた僕は、まだ大学受験戦争でのつらい挫折から立ち直っていないこともあり、鬱屈とした日々を思い出さずには居られなかった。

 

門から1歩キャンパスに入った瞬間、僕はただ一言、「マシンガンが欲しい」と呟いたという。その時まだ僕は哀れな敗残兵だった。「こいつら皆頭がいいんだな〜」と当たり前のことが恐ろしかった。

 

怒り 

ところで人間は怒ることに飢えている。

「怒れる」「叱れる」ことはエンターテインメントの一つだ。

「泣ける」「笑える」のように宣伝文句に使われることは殆ど無い(と思う)が、それは明らかにジャンルとして確立されている。

噂の東京マガジンという朝の番組では、休みの日に気まぐれでしか台所に立ったこともないような死に損ないの老人が、若い女が魚を捌けない様を撮影してひたすらけしからんと罵倒しふんぞり返るコーナーがある(「あちゃ~、それはサンマじゃなくてイワシだよ~こりゃダメだ」みたいなナレーションがいちいち入る)。

2chまとめでは他人の創作した不倫話を嬉嬉として読んだ後に「自業自得だ」と説教するスレ(風俗嬢に説教するのと根本は似ている)とか、老人の交通事故のニュースに「免許を取り上げろ」と罵るスレとかが乱立す。

駅前でおかしなデモ集団を見たことがある。アベ政権とかジェンダーとか年金問題とか多種多様な問題の書かれた旗を持った女性と老人達がそれぞれ異なる文言を叫び何かに抗議していた。平日の昼だったので中年男性はいなかったが本当に雑多なメンツであった。その人たちは、ただ「怒ること」という共通項だけで集まった集団に見えた。(だんだん何の話してるのかわからなくなってきた。残業続きで疲れているのかもしれない)

理不尽なこと/間違ったことを見つけると僕達はおもむろに近づき、鼻をつまみながらその匂いを何度も嗅ぎ、その度にわざとらしく顔をしかめる。

なぜか。

怒ることは楽しいからだ。

仮にそれが存在しない対象、仮想敵であっても。

怒ること(またはそのフリ)が出来なければ、人間はストレス(またはそう呼べない程度の不満)を感じ、解放することができないのだ。

 

かく言う僕にもかつて静かな怒りに燃えていた時期があった。それがまさに予備校生の頃である。

 

予備校

最初から大学受験には落ちる気しかしなかった。だが実際に落ちてみると失敗そのものよりも「これから勉強ばかりしなければいけない、バンドができない」という閉塞感と焦燥感が急に襲ってきた。

この考えは実際には正確ではなくて、周りで浪人に成功した人達は大抵が友達と適度に遊んでストレスを解消していた。しかし極度の焦りを感じた僕はそれまでの交友関係をほぼ断ち切り、誰も知り合いがいない予備校を選んでしまった。

 

僕は怒ることで、楽しむというよりは精神を保っていたのかもしれない。ほとんどそれは憎しみに近かった。受験に落ちたのは完全に自分のせいだ。だがそれは認めたくない。今の苦しみを社会のせいにすれば責任を取らされている自分は存在せず、被害者になれると思った。

論理的に考えれば自分が正当に怒ることのできる具体的な対象は何一つとして無かった。しかし僕はぼんやりした何かに向けて怒り続けた。

街で目に入る全てを憎んだ。笑顔を見ると苦痛になった。季節的な行事は全て唾棄した。受験生応援ソングとかも「他人事だろ!」と撥ね付けた。電車の中で乱暴にぶつかってきた人を睨みつけたせいで殴られそうになった。みんな嫌いだ。音楽を聴いて元気を出して、2chまとめを読んで(あるはずのない)暇を潰した。夜は床でのたうち回った。

 

待ち受けていたのは孤独だった。

 

朝、家を出て帰ってくるまでに「自習室借ります」以外の言葉を発しない日が続いた。ある日、自習室の蛍光灯にびっしり謎の毛(たぶんひげか鼻毛)がついているのを見て以降は自習室を利用しなくなったので、それからは本当に1日何も言わなくなった。親との会話が唯一のコミュニケーションだった。暇すぎて深夜にヤフーチャットで偉そうな中年ニートに喧嘩を売った。あとはずっと2chのまとめを見ていた。(その割に本とかゲームとか映画とかは基本禁止していたのでストレスが溜まった)

 

常に怒っている奴に話しかけてくるような人間はいない。元々から無愛想で話しかけづらいのに、常に怒った顔をしていて休憩中はなかなかイヤホンを外さないし外す瞬間に爆音のSUM41が音漏れする奴がいたら普通は話しかける気にならないだろう。周りはみんな高校生の延長みたいな感じで男女入り混じって和気あいあいと楽しくおしゃべりしていた。チャラいやつとかは普通にドライブして海に遊びに行くとか言ってた。俺は寝たふりをしていた。これは高校時代と同じだ。

 

だがある日、油断の隙を狙って小太りの男が話しかけてきた。

僕がいつものように激怒しながらガラケー2chまとめサイトを巡回しようとしたら、小太りの男が昨日のテレビを見たかと聞いてきたのだ。僕は、見てないと答えた。外で声を発したのは久しぶりだった。

 

地獄みたいにつまらないやつだったので彼のことは仮にヘルボーイと呼ぶ。ヘルボーイは昨日のエンタの神様がいかにつまらなかったか、漫才のネタを克明に再現しながら説明してくれた。全く伝わってこなかったが、その説明はクソつまらなかった。

なぜヘルボーイがこんなにも興奮して自分がつまらないと感じただけの話を説明しているのか理解に苦しんだが、彼もまた怒りを楽しむ人間の1人であることは間違いなかった。彼とはアジカンが好きという1点のみ気が合った。 

ヘルボーイとの話はこれでおしまいだ。あとは別に何も交流はなかった。たまに一緒に帰ったりとかもしたけど、全然そこから仲良くなったりしなかった。だってつまらないからだ。むしろそのだいぶ後、さすがに僕も孤独に耐えかねた頃に音楽に超詳しい友達が出来たので彼とはよく話をした。彼はipod classicの120GBが足りないと言った。彼はあらゆるジャンルのミュージシャンを知っていて、しかも感想聞いたら大体好きだと言った。彼ほどの超絶雑食野郎はそれ以降も見たことがない。歩くTSUTAYAみたいなやつだ。そういうことだ。

 

それ以上特に語ることを今は思いつけない。

浪人の恐ろしさとは無そのものなのである。 

あと、こないだ売れているバンドの人のブログをこないだ見たらすごい短かった。比べると僕のは長過ぎて読む気にならない。その割に書くと疲れるから損だと気付いた。

だから今回はこれで終わりだ。

 

 

今日はひさしぶりに定時に帰ることが出来た。

予備校という無間地獄から抜け出せた僕は、やはり今なお会社に怒り続けている。

そうしなければ、この理不尽な世界では精神を保てないからだ。

コンビニのバイトが過酷すぎて2ヶ月で辞めた話

 

企画楽しかったよという話

この前、企画ライブとかいうやつをやった。

*「バイトの話はどうした!?」っていうのはちょっと待ってください。

宣伝まみれのブログを直前になって慌てて書いて「どうか来て下さい」と懇願したが、特にその足掻きとはあまり関係なく、たくさんのお客さんが来てくれた。

企画ライブでの様子をネット上にアップして下さる方々が居たので無断で掲載する。

動画などもtwitterで「Emily likes tennis」と検索すると出てくる。

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俺は「これもひとえにギターの人の顔の広さ、ベースの人の演奏の上手さ、ボーカルの人のMCの面白さ、一緒に盛り上げてくださった素晴らしい共演者の皆様、色んな支援をして下さった方々、そして何よりも、見に来て下さり、応援して下さる方々のお陰だなあ」と思い、さめざめと涙を流した。

涙は流さなかったが、あまりに楽しかったので、次の日の日曜日は反動が激しく、家で死んだ顔をして呆然としていたら夜になっていた。レーザー脱毛のレベルを上げてヒゲを焼いた為、死の苦しみを味わった以外は本当に何の成果もない一日を過ごした。風呂でチャットモンチーの「ひとりだけ」を熱唱した。

 

あいさつ

そんな中、Twitterで「思っていたより(俺のキャラが)快活だった」とのコメントを頂いた。

え?あの終わった後ずっと一人で隅の方で水飲んでた俺が?そう思ったがよく考えてみると心当たりはあった。俺はあの日、確かに水を飲む前に物販スペースで、自分でも意外なほど元気な声で「水、売ってます!」とか「どうもありがとうございます!」と繰り返し叫んでいたのだ。

 

実は俺は挨拶だけなら出来る。挨拶は知性がなくても出来る。アドリブ力がなくても。

俺が挨拶を始めた起源について遡ると、物心がついた頃くらいにたどり着く。

俺は昔から人見知りだが目立ちたがりで褒められたがる子供だった。だから親の知り合いとか祖父母の知り合いとか、よく知らない人に会うとちゃんと挨拶をした。小さい子供であれば挨拶するだけで簡単に褒められる。それは快感であった。幼い俺にとって知らない大人とは何を考えているか全くわからない機械だったので、特に緊張もしなかった。

同年代相手ではそうはいかなかった。子供にとって挨拶なんかどうでもいいことで、面白い話やノリの良さ、足の速さで評価が決まった。それに俺は当時ここには書けないような奇行を繰り返していた為、あまり交友関係は豊かでなかった。

俺は同級生には挨拶ができなかった。

俺は気の利いた返事ができなかった。俺はアドリブが非常に苦手だった。俺は人気のテレビ番組を見ていなかった。俺は運動が苦手だった。俺は肥満児だった。

俺は大人に挨拶が出来る以外に何の取り柄もない根暗なガキになった。人見知りは加速した。

 

気が付くと、知っている人にもマトモに挨拶ができない立派な人間に成長していた。

 

ファ●マでアルバイト

そんな俺だが、幼少期の経験から必要に迫られた時だけ、ちゃんと挨拶ができた。

その類まれなる挨拶スキルが頭角を現し始めたのは大学1年生の頃に始めたコンビニのアルバイトであった。そのファ●マでは募集はしていなかったが、家から近所で通うのが楽そうだったので聞いてみたら雇ってもらえた。一日目に「接客とは」みたいな本を店長と一緒に読み合わせ始めて10分で居眠りして怒られたが、クビにはならなかった。

いきなり店長が「俺は人間を作っているんだ」と言い出したので最初は下ネタかと思った。だがどうやらそのままの意味ではないらしかった。

「俺の店では君と同じ大学の生徒が多く働いている。彼らは最初、社会での働き方というものがわかっていない。しかし、ここでバイトをすることで常識や感謝の気持ちを学び、立派に社会へと巣立っていく。うんにゃら〜」とのことであった。結構なことだ。今、詳しい内容を思い出すために当時のmixi日記を探したら、見つからなかった上に他のとても痛々しい日記がたくさん見つかって急いでブラウザを消した。このブログも絶対黒歴史になるんだろうな…。

 

店長は俺の挨拶をとても元気が良いと褒めてくれた。今までで一番良い挨拶だ、と。レジを打つと「君はスジが良いね!」とよくわからないことを言ってくれた。初めての出勤日には「ここは最高に旨いんだよ」とニュータンタンメン(美味しくない)をおごってくれた。俺は頑張って少しずつ色んな仕事を覚えた。ポテチを並べた。タバコを買う老人は無礼だった。熟女モノの成人向け雑誌が凄く売れた。毎週、コーラとバナナを買う黒人がいた。お金を投げつけてくるおじさんがいた。お釣りと一緒に払ったお金を取ろうとするギャルがいた。店長が「ATMしか使わない奴は客じゃない(大意)」と言っていた。でかいスポーツバッグに直接現金をジャラジャラ入れているおじさんがいた。ファミチキを無駄に揚げまくった。肉まんを蒸しまくった。話がつまらない高校生と一緒にレジに立った。何度時計を見ても時間が全然過ぎなかった。退屈だった。飽きた。

サークルの先輩(Emily likes tennisの元ベース)に「バイト飽きた」と話したら、「ファミチキを揚げる時に、チキンじゃなく人間をフライヤーで拷問しているところを想像しろ」と言われて爆笑した後ですげえ引いた。

 

辞めようと思った。まだ始めて2ヶ月だった。俺は意外と社会不適合者なのかな?と思った。でも、廃棄を持って帰らせてくれないし、客は無礼だし、一日に何回も同じ曲とCMをエンドレスで聴かされるし、ジジイの客に怒鳴られるし、交代の時にチャラい先輩が「ウェーイ」って言いながら本気で肩パンしてきて殺してやりたかった。こんなの刑務所より最悪だと思った。それに、もっと割のいい塾講師のアルバイトを見つけていた。

だが辞めるとはなかなか言い出せなかった。

 

俺は意を決して電話をした。

「すみません、シフト、来月はあんまり入れないです。土曜だけしか…」

「そうか…再来月は?」

「再来月もあんまり入れないです…」

「ふーん、じゃあこの日とこの日は?」

「全部無理です…再来月は1日しか入れないです…」

「そうか…辞める?」

「ハイ!!!!」

 

俺は晴れ晴れしい気持ちになった。最終出勤日すら面倒くさくなって「風邪を引きました…ゴホゴホ」と電話したらバイトの先輩に「社会出たらそんな無責任なこと通用しないよ」と怒られたのでさすがにちゃんと出勤した。(会社員になったら社会では通用することがわかった)店長に「君は最初から続かないと思ってたよ」とのコメントを軽蔑したような眼差しでもらった。俺の育成は失敗に終わったらしかった。そのコンビニにはその日以来行っていない。

あの頃は苦痛だったけれど、それ以来俺はコンビニの店員には出来るだけ丁寧に接するようにしている。コンビニは大変なのだ。仕事の種類は多いし、客層も様々なのでストレスが溜まる。でもコンビニは無くてはならないのだ。俺は日本のコンビニ文化が好きなのでコンビニの店員には頑張ってもらいたい。そしてあんな辛い仕事は早く全自動化してAIにやってもらいたい。せめて時給を上げてほしい。おにぎりをもっと大きくして欲しい。もっと言うならおにぎりを105円に戻して欲しい。

 

今後のライブ

再来週に東京ボアダムというイベントがあり、そこでライブをします。東京ボアダムについてもブログをそのうち書きたい。

 

6/17(Sat) 秋葉原CLUB GOODMAN and ikeBECK

「東京BOREDOM #12」

開場 12:00/開演 13:00

前売り 1,000円/当日 1,000円(+1D500円)

出演:左右、ENERGISH GOLFAlan Smithees MAD Universe、エレファントノイズカシマシ、shuharikumagusubossston cruizing mania、余命百年、NOworst tasteSub Shermanfrom:シンガポール)、kuunaticcarpoolRREMIXXGROUNDCOVER.)、COMPACT CLUBhopiillMilliliter and Emily likes tennis 

詳細、チケットの予約はボアダム公式ページから

http://tokyoboredom-blog.tumblr.com/

 

 

 

映画を観たら元気が出たのと、できたらぴあ予約で企画ライブ来てCDをゲットしてほしい…という話

要約:先日、映画を観に行ったらすごい面白くて気分転換になったので皆もたまに映画を観た方がいいと思います。あと土曜にライブをやるので見に来て下さい。ぴあで前日までチケットが買えて、特典CDがとても良い内容になっているので是非予約してみて下さい。普通のメール予約より良いですよ!!

 

 

なぜ会社を辞めたいのか、そこに会社があるからだ

 

その疲れは無意識下で何となくだが確かに数週間前からあった。いや、本当は人類が生まれる前から存在していたのかもしれない。でもやっぱり最近蓄積していたんだと思う。たぶん仕事のせいだ。いつだって問題は仕事にある。特に残業が増えた訳でもないし、上司にすごい叱られたりもしていない。むしろ上司は批評の後で優しい言葉をかけてくれる。君のことをいつでも心配しているよ、頑張れるようにサポートするよ、そう伝えるための声がけ。ぬるい会社でぬるい仕事をしているだけなのだが、ずっとぬるい風呂に入ってぶよぶよになっているような倦怠感があった。それは惰性という名の病気かもしれない。

俺はやりがいに騙される。成長という甘い言葉に騙される。

正論を言うなら仕事はした方がいい。遊んでばかりいれば人生を浪費してしまうし、仕事のお陰で限られた余暇をどう使うか考えることが出来る。ストレスや忍耐が人間を立派にする。金だって要る。でも、俺には正論なんていらねえ。

 

会社、辞めたいんだなあ   たぺお

 

「なぜ、会社を辞めたいのか?」と問われても「そこに会社があるからだ」としか答えようがない。QED。これは自明の理というやつだ。

正常な思考力を維持している人間であれば誰でも「会社辞めて昼に起きて家でゴロゴロしてたまにコンビニとかハワイとか行きてえ」と考えている。これは本能である。我々のDNAには有史以前より「昼から餃子喰って酒飲んで寝たい」と刻まれているのだ。だがそれは金が無いので無理だ。ベーシックインカムはいつになったら施行されるんだ。

人々はストレスを様々なものに向けた。一生懸命クソリプを考えた。ミサイルを排他的経済水域に撃ち込んだやつも居た。

俺は仕方がないのでストレス解消のために家で茄子と豚バラの味噌炒め(甜麺醤を使う中華風のやつ)をひたすら作って毎日食う。俺の好きな茄子と豚と米と大量の油が俺を一時の間、満足させた。

でも、脂質以上に効果のあるものがあった。

 

映画を観に行こう

 

2本の映画を観に行った。

「メッセージ」と「ガーディアンズオブギャラクシー2」だ。どちらも方向性は全然違って面白い映画だった。

傑作だった。

観て良かった。マジで皆観たほうが良い。映画館で観たらもっと良くなるタイプのやつだった。俺もモヒカンにしたくなった。

映画は昔から好きだ。でも全然難しい映画は知らない。高校の時に深夜にやってる映画を録画してひたすら観ていた。芸術的なこととか全然わからない。俺は他の人がどう思ってどうやって毎日過ごしているのか知りたかったんだと思う。

そして色んな人生の可能性を考えた。オダギリジョーが通りすがりの女の人を助けたあと腹パンするのを観て「意味不明なのに顔カッコイイな〜けど俺正義感強いから引くな〜」とか思った。学校に行くのはとても面倒くさかったけど、皆も無理矢理なんとかやってるんだな〜と思って気が楽になったり、取り敢えず明日のことを忘れたり出来た。

頑張ってる人を見たから頑張ろうと思いました!みたいなそういうエネルギッシュなやる気はそんな無くて、あー皆こうして我慢しているのか、観念しよ…みたいな気持ちで、なんとか凌ぐ感じだった。でも楽しかった。

 

いつも俺は思っている。ライブも映画と同じだ。

同じように2000円くらい金を取ってお客さんの時間をもらっているんだ。

CGは出せないけど、ボーカルは段ボールを出している。

俺も観た人が元気になるような何かを作る側に回りたい…。

 

だが、楽しませる為には頑張らなきゃいけない…。

演奏もそうだが、誤解を恐れず言うならば、良いイベントとはずばり、

客が多いイベントである。

 

闇の街、下北沢

 

ビラ(フライヤー)配りというのは僕が苦手なバンド的行為の一つである。僕は営業がしたくないから理系の会社に就職したのに、企画の前には土日に営業活動としてビラを配っているのだ(一年前の企画の際のブログでもそんなことを書いていた記憶がある)。お客さんにライブに来て頂きたい気持ちがすごくある。それは仕事じゃない。好きでやっていることです。たくさん来てくれればモチベーションも上がるし、盛り上がる。わざわざお金を出してもらって、見に来てもらいたいんだ。ビラくらい配る努力も出来ない筈はない。だから勿論やる。一生懸命配る。嫌じゃないです。でも苦手である。

ただビラを配ることに苦手もクソもあるかと仰る方もいらっしゃるかもしれないが、ビラ配りは才能の有る無しがはっきり分かれる、極めて高いスキルを求められる仕事であると思う。実際にビラを配ってみると分かるが、なぜか蚊の鳴くような声しか出ないし、さっき配った人とか出演者の人とかに間違って渡しそうになるし、そういう間違った時に咄嗟に声が出ないので、蚊の鳴くような声で「アッアッすみません…」とか言って不愉快な雰囲気にしてしまうのである。配られるお客さんたちも大体嫌な顔一つせずに受け取ったりしてくれるので完全に申し訳ない気分になる。そもそも歩いてたらいきなり暗い顔でCMを見せられるようなものなのに文句言われないのがおかしいくらいである。なんなら次から殴ってもらった方が良いのかもしれない。

ビラを配っている他のバンドマンたちは立派である。僕のように気味の悪い顔をして突っ立っている幽霊は一人もいない。笑顔で快活に腹から声と愛想を出し、0.1秒で知り合いを発見し0.2秒でその人との共通の話題を思い出し、0.3秒で肩を組みながらいつの間にかお互い爆笑しながら「今度のライブなんで来ないの~?予約表に名前書いとくから絶対来てね!」と人懐っこく誘う。0.5秒で違う客にロックオンしている。

僕はそれをただただ呆然と眺めるばかりだ。

商社に就職できそう…

 

全メンバーが人見知りのバンドは絶対に売れない。

当然のことだ。どんなに「僕孤独なんです」と歌っていても売れてるバンドは友達がたくさんいるんだ。それは努力の結果なんだ。

 

人間が繋がり合って成立しているこの世界で、

コミュ力の必要ない場所なんて、どこにもないのだ。

 

それでも俺は一人、下北沢へ向かった。 

バンド練習の後で、Tシャツが汗臭かったのでユニクロで買った。

 

下北沢は恐ろしい街だ。なんかアーティスティックな人たちがたくさんいる街だ。(でもカレーパンが死ぬほど旨いので嫌いになれない街だ)

天馬屋 下北沢店 https://tabelog.com/tokyo/A1318/A131802/13163101/

 

今日の俺みたいに髪の毛に何も付けていない非常識な人はいないのだ。そんな奴、笑われる。

だから慌ててコンビニでヘアワックスを買った。でも俺はどのヘアワックスを買ったら良いのかすらわからなかった。もう27年も生きているけど、どのヘアワックスが自分の髪型に適しているのかすら分からない。そもそも髪型なんてない。美容院でいつも「分け目はどっちですか?」と聞かれて「俺に聞くな」と思う。コンビニでヘアワックスを買う時、いつも「俺は何も考えて生きていないんだな」と打ちのめされる。皆、中学とかで当たり前のようにヘアワックスを買っていたのに、俺は何のことやら全然分からなかった。もうたぶん周りはなんかムースとかジェルとかレベルアップしたなんかそういうのを付けているのかもしれない。俺は分からないからワックスで良い。いつもその時の気分の色のやつを買う。値段が安いからギャツビーのやつしか買わない。全部同じに見える。

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ペタペタ七三分けみたいになって蚊のなく声を出してビラを配って、気付いたら駅に向かっていた。左手に餃子を、右手にチューハイを持っているので箸は持てない。犬のように餃子にモシャモシャ食いついているとメガネが油まみれになった。前が見えなくなってきたあたりで下北沢名物の漫画を朗読するおじさんに「そこの餃子の王将の君!」と言われたが無言で会釈した。

それでも帰りの電車で反芻してみると、「そのビラもらったよ」とか「行きますよ」とか言ってくれる人がいたな〜とありがたかった。嫌そうな顔をする人なんて居なかった…。来てくれた人たちが楽しんでくれたらいいな〜と思った…。

 

メンツ的にもきっと楽しいイベントになると思う。

 

 ぴあ特典CDの中身とは!?

 

CDの話だが、聴いてからのお楽しみにしてほしいので簡潔に説明すると中身は以下の通りだ。

1.フェルマーの最終定理(未発表曲)

2.トイレそのアフター(パイプカットマミヰズ カバー)

3.MANZIAGE(股下89 カバー)

4.~7.次やったら殴る(トリプルファイヤー カバー 4パターン収録)

 

↑はぶっちゃけTwitterのつぶやきをコピペした。

1曲目は「ヒカルのファンク」という曲があって、ライブでもやったことがあるんですけど、それの途中で交通事故に遭わなかったらどうなるかという別verの曲だ。意味がわからないですね。

あとはその日の対バンのカバーです。けっこう難しくて練習しました。

トリプルファイヤーのカバーだけなぜかボーカルのバージョン違いが4つもあります。理由はわからないです。この曲だけドラムは半分打ち込みしているので音がへんてこな感じです。

 

どれもとても良いので正直今回しか入手経路がないのは非常に残念です。もし我々がメジャーデビューしたら(Mステに出たら)ヤフオクで高値がつくと思う…。

普通に普段出しているCDと同じくらい手間を掛けていて(主にエンジニアのヤミニさんが)、音が良いのでできたらたくさんの人に聴いて欲しい…。

ぴあは明日の23時59分まで予約可能なのでこれを読んで予約してくれる人が一人でも居たら良いな〜と思います。(ただしクレカは発券期限があるみたいなので注意。*1 )

もし居たらあとで教えてください。そしたらバンドメンバーに褒められるし、俺も「うれしい!」と返事します。

 

ということで土曜日よろしくお願いします。

写真は俺がたまに画像検索していることでおなじみの「トビネズミ」です。

 

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 なんじゃこの顔ウケる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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*1: ぴあのサイト見たら、クレジットカード・電子マネーちょコムで買うと、店頭での発券可能日時がご決済の24時間後とか書いてあるので、コンビニで現金で買うのをおすすめします。セブンイレブンサークルKサンクスで発券できます。

ヒゲ脱毛に通い始めて、気がついたらもう1年半以上が経っていた話

プロローグ

 

俺は道を歩いていた。

小さな子どもたちが俺の脇を元気よく駆け抜けいてく。まだ5月にもなっていないのに既に日差しの当たる肌が熱かった。先程通った男の子たちを追いかけていた、更に小さな女の子がいた。立ち止まって、乗っていたキックボードの様子を真剣な面持ちで見ている。どうやらどこか調子が悪いらしい。

そして少女はそのキックボードのハンドルの両端におもむろにタンポポを差し込むと、満足気にまた走り出した。キックボードの後輪が跳ねまくって、普通に走るより遅そうだ。

平和だと思った。急に涙が出てきた。

俺もあんな風になりたい。あんな…あんな仕事がしたい、心からそう思った。

GWはまだ始まったばかりだった。

 

最近、ライブの詳細も決まってきたのでまたブログで宣伝をしなければならない。

別に取り立ててオチも何もないのですが、ネタもないしレーザー脱毛の話をしようと思います。

結論から言うとクソおすすめです。

 

 

 まずヒゲ・リテラシーを学ぼう(いかにしてヒゲ脱毛を決心するに至ったか)

 

ヒゲというのはとても厄介なものです。ヒゲは男であれば多かれ少なかれ誰にでも生えるのだが、この①多かれ少なかれという部分と②誰にでもという部分が問題です。

説明しよう。

 

①ヒゲの生え方

男であってもヒゲの生え方は千差万別である。

俺のヒゲの濃さは(たぶん)中の上レベルだった。それでも大学の同級生の半数ぐらいは、一週間程度ほったらかしてようやく俺の半日分に満たないという状況だった。

ヒゲ格差問題は深刻である。

ヒゲ貴族(ほとんど生えてこないクソ勝ち組ゆとりども)達はヒゲを剃らない分、その時間を余暇に使うことができる。1日5分、1年で1日余り、80歳で死んでも残りの人生のうち2ヶ月以上ヒゲを剃らなくていいのだ。(このあたりのことは「ヒゲ脱毛 メリット」と検索すれば嫌になるくらい、いくらでも情報が出てくる)

つまり、ヒゲの濃い人間は寿命が短いのである。

 

また、ヒゲ貧民(めっちゃ濃い可哀想な弱者)以下にまで悪化すると、ヒゲを完全に剃ることは出来ない。乾燥したヒゲは斬鉄剣でも斬れない。その結果、クソ無駄な時間を消費して顔中血まみれになり、青ひげは残ったままというヒゲ無間地獄が出来上がる。色白だと青ひげは気持ち悪い。昔、「忍たま乱太郎」にヒゲ剃りが苦手でよく顔が傷まみれになる忍者というのがいたが、今思い出すとその苦労がリアルでよく分かる。

剃らなければ良い、と貴方は言うかもしれないが、このご時世にヒゲを生やしている人間なんてほとんどがハイパーITエンジニアか美容師かバイトのバンドマンとかである。俺はサラリーがほしい。

 

②人間の不平等さ

ヒゲ脱毛に興味があるが脱毛しないという人間に、「なぜヒゲを脱毛しないのか?」と聞くと大抵「将来的にヒゲを生やしたくなったら困るから」という回答が返ってくる。

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だがこの問題に対しての回答はやはり検索すれば一発で出て来る。

 

「ヒゲが似合うのはイケメンだけ」である。

 

世の中には質問に答えるフリをして人を傷つけるのが好きな残酷な人間が山ほどいる。

ヒゲが好きなら問題ない。俺には貴方からヒゲを奪う権利がない。(奪うのも簡単ではない)

だが今生えているヒゲが醜い時点で将来的にそれがプラスに働くことは基本的にはない。例外は整形です。

ヒゲは誰にでも生える。だが、イケメンにもブサイクにも生えるヒゲが同じものだと考えてはいけない。白馬の王子様が持つエクスカリバーと浮浪者が持つ錆びたナイフくらい違う。

更に言うならそもそもヒゲが似合うイケメンも大体はある程度ヒゲを整えている。何も努力せずに勝手に生えたヒゲが似合ってカッコよく見えるなんてのは幻想でしかない。そんなのキアヌ・リーブスくらいだ。それなのに人は永遠に失う、と考えるとクソ以下のゴミであっても捨てることを躊躇する。(ちなみに永久脱毛は半永久なので年を取るとまた生えてくるそうです)

「ヒゲが好き〜」とかいう女は「ヒゲが似合う」人が好きなんであって不衛生にヒゲが生えている男なんて1ミリも興味ねえよ、という訳である。ショートカットの女の子みたいなもんだろうか。

はい、僕は受け入れました。

あと「将来的にヒゲを生やしたくなったら困るからヒゲを生やさない」というのは「筋肉マッチョになりたくないから筋トレダイエットしない」と言うのと同じです。

後述しますがそんな簡単にそんなレベルまで行けたら苦労しないのです。金を払えば何でも簡単に出来ると思ったら大間違いだ。わかったら金をくれ!

 

あと、「脱毛なんて女っぽい、女々しい」みたいな意見もありましょうが、俺はもう痛いのも見た目が汚いのも嫌だったのだ。痛くないならもうオカマでも良いよ。

もう「俺なんて朝剃っても夕方には生えてるよ」と言って笑いを取るのも嫌だ。

今の俺に越えるべき壁はなかった。

俺は脱毛を決意した。

 

 

S南美容外科クリニックのヒゲ脱毛に行ってみよう

まあそういう自分の中での葛藤を乗り越え、ボーナスを握りしめて僕はS南美容外科クリニックに行った。

色んな所が有り、色んな施術方法がありましたが、簡単に自分の判断基準を言うと

  • 安全なやつ⇛レーザー(光や針は効かない、痛い、のでアウト)
  • 近所にあるやつ(予約がクソ取りづらいため。土日は2ヶ月先が空いてない)
  • 条件内で一番安いところ

で選びました。ゴリラクリニックとかいう名前的にすごい効果ありそうなところも見つけたけど高かったからやめた。(今見たらめっちゃ安くなってた)俺は新卒だから金がねえんだよ。

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光脱毛は安いけど(よく電車広告で「女のワキ1回500円!」とかありますね)、性能が低いので何度も通わないといけない。

レーザーはなんか使うのに認可が要るからすごい安心ぽい。

そういう理由で選びました。

アレキサンドライトレーザーっていう厨二病的な名前にも惹かれました。FF6の魔導アーマーが出しそう。黒い処を狙い撃ちするので黒人はダメだそうです。

 

ヒゲを脱毛するパック(5年間∞回行ける)は10万弱しました。高いけど、「数回程度じゃヒゲはなくなりませんよ〜」というお姉さんのセリフを信じた。ところでスタッフがやたらピチッとした制服を着ているのは何の意味があるのでしょうか。ここが男性のヒゲ専用のレーザー院であることと関係があるのだろうか。後日、違う店舗でレーザーを照射したらそこは女性の整形関係もやっているところで、制服が違ったのでそういうことなんだろう。そこにはイケメンの若い院長がいたので、まあそういうことなんだろう。

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脱毛は痛かった。

変化は痛みを伴う。

輪ゴムをバチンと弾かれるような痛みだと聞いていて確かにその程度なのだが、顔面に40発も50発も輪ゴムをブチ当てていると流石に発狂しそうになる。昔の中国の拷問かよ。そういう感じだ。

レーザー照射中は「痛いですよね〜、頑張って下さいね〜」と優しい声でお姉さんに言われる。医療機関でこんな優しい声を聞くことはない。優しい声を掛けられマジ泣きしながら痛みに耐えつつバチバチやられていると俺は今何をしているんだろうという気持ちになる。

 

ある時など恐ろしかったのは、声を出さずに泣いてる俺に女が「久しぶりなんですよね?この痛みですよ〜思い出しましたか?」と言い始めたことだ。俺は「こいつ実は変態なんじゃねえのか」と恐ろしくなった。合法的に俺を痛めつけて楽しんでいるイカれ女は俺を生かさず殺さず脱毛し続けた。

 

こんな目に遭うのも全てヒゲのせいだ。

俺はヒゲを呪った。

ヒゲさえ無ければ10万を失うことも、こんな痛みに苦しむこともなかった。

なんで此の世にはこんな格差があるんだ。俺が何をした。

なんで国は俺達を救ってくれないんだ。ヒゲ援助金をくれ。

消費税を返せ。住民税を返せ。

絶対に許さねえ。

 

こいつら…駆逐してやる!!この顔から…一本残らず!!

 

 

ヒゲ脱毛に通い続けよう

実際効果があったのか?

ありました。一回目からあった。初めてレーザーを照射して2週間後、放射能でも浴びたのかって恐ろしくなるくらいヒゲがスルスル抜けた。顔を洗っていると抜けるのである。これはだしのゲンで読んだぞ。その時生えていたヒゲは全部なくなった。すごい。

でもヒゲは思ったより厄介な奴らだった。奴らは何度レーザーでじゅうたん爆撃してもゾンビのように復活した。なんでも、ヒゲというのは一時的に出ているだけで、あれは氷山の一角なのだそうだ。常に交互にヒゲは生え変わっているのである。

そのうちの生えている状態の毛根を殺すので、(しかも完全に殺し切れないこともある)この戦いはなかなか終わらないのだ。不殺でござる。

その為、2回目以降の効果については緩やかなカーブを描くように進み、劇的な変化は得られなかった。毎回全滅するけど、何度でも蘇るのだ。

 

そんな訳で俺はもうこの不毛な(毛はあるけど)戦いを1年半以上続けている。

1ヶ月以上間隔を空ける必要があるとしても、もう10回以上は通っただろう。

実感しているメリットとしてはやはり

  • 青ひげが減ったことで顔の印象がかなり違う(あると10歳位老けて見える)
  • ヒゲ剃りを浅くしかしないので肌が荒れない
  • お店に行く度に最新のプチ整形についての情報をキャッチできる

ということが挙げられる。ぶっちゃけ非常に満足している。

確か契約時にお姉さんは「20回位通わないとなくならない」と言っていた。まだようやく折り返し地点に立ったレベルらしい。

変化というのは急には訪れないものだ。

だが、それでもいい。

少しずつ、だが確実にヒゲは減っている。

元々薄かったところはもうほとんど生えていない。

ヒゲ剃りで血を流すことも無くなった。

 

あの頃の未来にぼくらは立っているのだ

 

未来は先の見えないハイウェイだ
だが今はその先に希望の光が見える
薄い部分の首まわりは ほとんど脱毛完了できたのだから
きっと鼻下ヒゲだって…    -ターミネーター2

 

 

今後のライブ

結構いっぱいあるねんで

 

↓コレに賭けてます。CDもらえるからぴあで予約してね〜。

6/3(土) 秋葉原CLUB GOODMAN

「Emily likes tennis presents オートマチックアフィリエイトセミナーvol.2」

ぴあでチケット買う⇛ http://ticket.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=1713703&rlsCd=001&lotRlsCd=

かなり豪華なメンツが揃っているかと思われます。

 

 ↓昼のイベントです。健康的で良い。最終日だよ。

5/6(土) JAMA FES -day4-最終日 

JAMフェスへのアンチテーゼなんだけどJAMフェスチケットあるとオトクなんだって。

  

↓誕生日会的なものだけど誰でも来て良いんだ。

5/20(土)新宿Motion

キクイマホ生誕祭」

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  • 高野京介と続・1997年←new!

  • ハリエンタルラジオ←new!.

  • food:カフェチーコ

 

↓大阪でもやります。ライスをお好み焼きで食えます。

5/13(土) 難波BEARS

gurumeレコ発イベント[美食家の反撃]

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 関西弁は捨てました。

 

プレミアムフライデーに「セッション」を観て、怖かった先生のことを思い出して、母と電話した話

プロローグ

雨の中、会社からの帰り道、雨合羽を着せられた柴犬が、松乃家の前から一歩も動かないでいるのを見た。飼い主のおばさんは困った感じで何度も紐を引っ張っていた。

俺も松乃家が好きだ。その気持ちは痛いほど分かった。

でもな、もうそこの松乃家は大根漬物食べ放題辞めたんだよ。そんな松乃家、松乃家じゃないのにな。でも本当なんだ。いくら待っても大根は戻ってこないんだよ。

こんなこと言ったって犬には分からないよな…。

 

 

※このブログには映画「セッション」のあらすじに関しての言及があります。ネタバレとかそういうので台無しになる類の映画ではないと個人的には認識していますし、出来る限りこれから観る方の楽しみを損なわない書き方になるように注意していますが、恐れ入りますが責任は取れませんので、ご注意下さい。

 目次

 

プレミアムフライデー

「きっとプレミアムフライデーなんて、誰も満喫してない」って思ってた。

 

俺はこの4月で就職して3年目を迎えた。

入社した当初は自分がちゃんと健常にやっていけるとは思えなかった。

毎朝ちゃんと起きて、ちゃんと定時まで働いて、残業して、それを毎週5日間、長期休みなんて1週間程度しかもらえない生活。いやいやそれは無理だろうって思ってた。でもどんなことでも時間が経てば順応してしまえるものだ。今は土日でも朝になれば自動で目が覚めてしまう、哀しい企業戦士になってしまった。

もちろん最初、慣れるまではつらかった(慣れてからもつらい)。だから同期とよく金曜に飲みに行った。少ない給料で酒を飲んで、当たり障りのない話をして、会社員ごっこを楽しんでいた。

でもすぐにそんな金曜日も新鮮味を失い、会話のネタもなくなり、そもそも帰って寝てえし、自然と誰も声を掛けなくなった。同期たちは帰って寝たり、クラブでナンパしたり、スロットしてタクシーで帰ったりするようになった。俺は毎週、家で下手くそなスター・ウォーズFPSをやるかAmazonビデオで映画を観るようになった。空中浮遊するバイクでダース・ベイダーを轢くと一撃で殺せるので楽しかった。

 

プレミアムフライデーなんて制度を聞いた時も、どうせ半数くらいは寂しく家でテレビ観てるんじゃねーのと思って、だから前回のブログのアップも、あえて金曜にぶつけてみた。皆の寂しさを少しでも紛らわせたら、と願ってのことだった。

そしたら、ツイートに対する反応の通知が全然来なかった(土曜になってから増えた)。

 

俺は悔しかった。逆恨みだってわかってる。

だけど裏切られた気分だった。

皆プレミアムしてるんだ。Twitterを見てる暇なんてない。

職場の仲間と、友達と、恋人と、家族と。

3時に退社して。心の底からの笑顔で。分かち合って。

ああ、この気持ちがプレミアムなんだねって。

 

今夜プレミアムじゃないのは、俺だけだ。

 

だから泣きながらチャリで近所のダイエーに行った。きゃりーぱみゅぱみゅがエンドレスで「イオンにはイースターを楽しむヒントがいっぱい!」と狂ったように叫ぶ中、俺も「これがプレミアムなフライやでー!」と泣きながら半額200円のチキンカツ弁当(全然プレミアムじゃない)と、半額100円のマグロの刺身(プレミアムじゃない)と、半額400円の和牛(プレミアム)を買った。帰って、泣きながらAmazonビデオにアクセスした。肉を焼いた。そして勢いでレンタル代400円も払って映画「セッション」を観た。

 

セッション

気になってたのになんで観てなかったかというと映画館行くのを面倒臭がってたら終わってただけだ。Twitter見てるとバンドマンの人とか菊地成孔(この人の評論読みづらすぎてヤバかった。町山智浩がまとめてくれてよかった)とかがなんか色々書いてる話題作らしいんだなあという感じが伝わってきてたのに、見逃した。知らない人のために説明しておくと、「暗いドラム青年がスパルタなハゲ先生にめっちゃ怒られて可哀想」っていうストーリーのジャズの映画だ。「のだめカンタービレmeetsフルメタル・ジャケット」みたいな感じだ。今話題のララランドと同じ監督です。

このハゲ先生の恫喝が非常に恐ろしく、またあんまりハッピーな話ではないので「音楽ってそういうもんじゃねえだろ!ラブアンドピース!」的な批判も多いようだ。だが俺は、事前に予想していたことだったが、このスパルタ表現に非常に納得し、リアルを感じていた。

それはひとえに、この少年にとってのハゲ先生のように、俺にとってのデブ先生が居た為である。

 

デブ先生とわたし

デブ先生は俺が高校2年の時に転勤してきた。

デブ先生は若くふくよかな先生で、「すしざんまいの社長eatsホリエモン」て感じの見た目だった(食べる前からほぼ相似だけど)。授業はユニークで人柄にも親しみがあり、すぐに生徒たちの人気を獲得した。あの先生面白いねーって皆言ってた。

そして彼は、吹奏楽部の顧問になった。

 

俺の高校の吹奏楽部は、昔は優秀な成績を納めていた時期もあったが、今ではかなり落ちぶれていて、生徒たちにも諦めムードが漂っていた。楽しくやりゃいーじゃん。

そこへ新たに若い顧問。なんでも前の学校ではかなり強い吹奏楽部を受け持っていたらしい。「俺は1年でお前らを県大会まで連れて行くぞ!」なんだかドラマみたいな展開だ。皆が期待をしていた。

だがデブ先生はすぐに本性を現し始めた。

そもそも俺はクラシックなんて別に興味なかった。吹奏楽部に入ったのは、無料でドラムが叩けると気付いたからだ。軽音部がないから仕方なく入った。後輩は中学からの打楽器経験者ばかりで、みんな俺より上手かった。だからデブ先生が叱るのはいつも俺だった。仕方がなかった。

「セッション」のワンシーンで、顔面を何度も叩かれながらテンポが合っているか聞かれるシーンがある。俺は腕を憎しみを込めて強く掴まれ、何度も何度も太鼓を叩かされながらこのテンポでやれと怒鳴られた。「下手くそが!死ね!」と叫ばれたこともある。教師にやで。吹奏楽部は女の子ばかりなので皆の前で怒られるのは余計に惨めだ。「セッション」は音大が舞台で、皆プロを目指して文字通り死ぬ気で音楽をやる話だが、俺のはただの放課後の余暇でやっている部活だ。へっぽこ高校教師にそこまで言われてまでやりたくはなかった。その指導からは熱意というより、怒りしか伝わってこなかった(実際、県大会にはその数年後も行けず仕舞いで、大した能力もなかったようだ)。既にその頃、僕は本とDVDを見て独学で下手くそながらドラムを叩けるようになっていた。女の子はどうせ、運動部の奴らと付き合っている。キモオタの先輩は「ハァ?」しか言わなかった。俺がここに居続けるメリットは1ミリも無いように思えた。

それでも辞める時は言い出しづらかった。運動部の友達は全員「一度やり始めたことをつらいからって投げ出すなんてダメだよ」との意見だった。母に聞いたら「そんなつらいなら辞めたらええやん。無理してやっても意味ないで」とすごい軽い感じだった。なので安心して辞めることにした。

デブ先生は職員室では温和に話を聞いて「考え直せないか」と言ってきたが、部室に行くと顔を真っ赤にして俺の胸ぐらを掴み罵倒を繰り返した。結局は職員会議に行った隙をついて逃げた。「そんな下手クソやったらバンドなんか絶対できるようにならん」と言われ、少し心配になった。が、毎日放課後に自転車で友達と爆走して池の黒鳥のモノマネをしていたらそのうちどうでもよくなった。

 

よく食べ、よく辞めよう

俺の経験と「セッション」の話は、上でも書いたけどだいぶ重要なところが違うと思う。だから比較するべき話ではないし、この映画の良かったところはストーリーの正しさ云々とかじゃなく、演出の巧みさだと思う(ホラー映画みたいなもの)。意外なことに俺は結構好きな映画だった。ドラムそのものも格好いいし。だけど音楽の先生って、(ジャズはどうか知らんけど)なんかイカれてるやつが多いと思う。

観終わった後、最近セッションを観た母に電話したら母も面白かったと言っていた。(誰にも読んでもらえないしょうもないツイートを100個するよりも、親と1分間電話をした方が有益だと最近気付いた)俺の部活のことは言いそびれた。

 

最近、同期の様子がおかしい。まだ2年だけど、もう2年だ。労働していると、何か感じるところもあるのだろう。こちらが全く話しかけていないのに、一緒に昼飯を食う時や帰る時などに横でずっと

「あ〜」

「そっか〜」

「まあな〜」

「ま、しょうがねえかぁ〜」

と30秒に一回くらい、自動で言葉を発するようになった(俺は完全に無視している)。これではファービーと一緒にいるのと変わらない。むしろ「とってもタノシ〜」とかもっとポジティブなことを言う分、ファービーの方がマシだ。

俺も部活を辞める時は深刻に悩んで、躊躇ってしまった。でも「辞める」という選択肢はどんな時でも常に心に準備しておく必要があると思う。人生は映画とは違う。視野が狭まると心が腐っているのに気付かず、最終的には同期のように心が死んでも気づかないまま働き続けることになる。バックホーン曰く、これを「逆ゾンビ」と言います。何が一番大事か、それを忘れてはいけない。優先順位を決めておくこと。ワーク・ライフ・バランス。クオリティ・オブ・ライフ。俺はいつでも、宝くじが当たったら会社を辞める心の準備が出来ている。

だが宝くじを買ったことは一度もない。

 

 

 

今後のライブ予定

先生に絶対できないって言われたけどバンドやってるんやで

 

↓レコーディング頑張っております。

6/3(土) 秋葉原CLUB GOODMAN

「Emily likes tennis presents オートマチックアフィリエイトセミナーvol.2」

かなり豪華なメンツが揃っているかと思われます。

 

↓大阪でもやります。僕は実は兵庫出身です。

5/13(土) 難波BEARS

gurumeレコ発イベント[美食家の反撃]

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  • 犬猫やつあし

 関西弁は捨てました。

 

 ↓昼のイベントです。健康的で良い。

5/6(土) JAMA FES -day4-最終日 

JAMフェスへのアンチテーゼなんだぜ

 

 

↓誕生日会的なものだけど誰でも来て良いんだ。

5/20(土)新宿Motion

「キクイマホ生誕祭」

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