たぺログ

Emily likes tennisという日本のバンドのドラマーが描く人間賛歌的なブログ

テセウスの俺

毎日毎日、僕らの細胞は生まれ変わり、僕らの体は作り替えられていくのに、なぜ同じままの自分である必要があるんだろう。どうせパーツを入れ替えるのなら、パソコンみたいにもっと性能が良くて、もっとかっこいいパーツにしたい。腕と足を追加して一人でツインドラムをしたい。いや、77ボアドラムを一人でやりたい。どんどん安くて、質の悪い模造品に変わっていく自分を見るのは苦痛だ。

だから40キロのダンベルを二つ買った。松本人志の顔を見ていれば明らかだが筋トレは抗鬱剤だ。

そうしてどんどん違うものに作り替えていけば良い。僕という、世界に一つだけの花の花びらを全部ちぎって、もっと素敵な花の花びらに差し替える。僕を毎日殺して、僕を新陳代謝して、今いる僕は一つ残らずゴミに出してしまえば良い。

そのゴミで昔の僕を作り直せるくらいに、全てすげ替えてやったら、僕はまるきり別の人間になっているはずだ。

それがアルティメットTドラゴンだ。

アルティメットTドラゴンは過去を振り返らない。それは無駄な時間だからだ。アルティメットTドラゴンは悲しまない。それは無駄な時間だからだ。アルティメットTドラゴンは執着しない。それは無駄な感情だからだ。

常に喜び、笑い、幸せで、満ちている。

それがアルティメットTドラゴンだ。

 

僕という存在が一個の作品で、それを作り上げるために日々生きているのに、なぜわざわざ何か自分とは違うものを創り上げる必要があるんだろう。人はみんな自分以外の何かを作らなければいけないみたいな義務を負わされているように見える。それは子供だったり、芸術作品だったり、仕事の成果だったり、肩書きだったりという形をとっている。

そんな義務なんてないと思いながらも、社会は何かを消費させ、何かを生産させようとする。君は絵を描くためにインクを買う必要がある。君は家族のご飯を買う必要がある。働く。そして金の無くなった俺にこう言う。「好きなことで、生きていく」。好きなことはお金を稼ぐことであったか。生きていくことがお金を稼ぐことだったか。俺の好きなことって、コーラの風呂に入る動画を撮ることなのかなあ。正しいワークライフバランスはワーク0、ライフ100だ。

この世のワークは全部ライス。俺が好きなのは、ただ生きていることだったよ。

数年前までは確かにそうだった。

それはノーマルTドラゴンだった頃の話。

 

何をしている時が一番楽しくて好きかを意図的に決められる薬が欲しい。仕事が好きになる薬を飲めば毎日仕事をして楽しくてしょうがない人生を送れる。何かで成功したいのならそれをやらないと我慢できないくらい好きになる薬を飲めば良い。何もかも中途半端なのは何もかもそんなに好きじゃないからだ。死ぬほど好き、それは苦しい。それは病気だ。俺は正常なんだ。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」という本にムードオルガンという機械が出てくる。それを使うと明るい気持ちとか寂しい気持ちとかに強制的に変えることができる。感情コントロールの機械だ。オルガンを使いたくないならオルガンを使いたい気分に変えることもできる。なんでそんな話をし始めたかというと俺が古典SFを読んだことあるのをアピールして「賢そう、センスがありそう」と思われたかったからだ。作者のディックはヤク中だから悪そうな感じがしてかっこいい趣味をしていると思われるかもしれない。

「そんな機械や薬で無理矢理作った自分なんて自分じゃない」と思われるかもしれないが、自分自身を規定するのは自分自身の特性ではなくて選択である、的なことをハリーポッターに出てくるダンブルドア校長が言っていたのを思い出してほしい。ハリーは魔法学校のクラスの組み分けを決める、喋る帽子に「お前は不良のクラス(ガチ人殺しの魔法使いとかを輩出してる)にも向いとるよ、入れたろか?」と言われたことをずっと気にしていて「俺って悪い人間なんかな」と校長に相談すると「そんなことあらへんで、お前は真面目クラスに行きたいって思ったんやろ、お前が何者かを決めるのはお前の能力でなくて選択やねんで!」と言われてハリポタする的なことがあったはずだ。なぜハリーポッターの話をし始めたかというとそういう子供向けの本とかから本質的ぽい引用をしたら「逆にジャンルとか絞らずに偏見なく学んでいる色んな知識のある賢いぽい人なんだな」と思われたら良いなと思ったからだ。

 

ところでヨーロッパの公衆トイレで部屋を出たら勝手に水が流れてトイレ内を清掃してくれる機械を見たことがある。急にこの話をしたのはヨーロッパに行ったことがある自慢をしたかったからだ。便器だけでなく、部屋の床ごと掃除してくれるのだ。 ノアの大洪水だ。僕も孤独死するならそういう部屋があると便利だろうなと思った。急に死ぬ話をして心配されたかったんだ。 全然死ぬ予定はない。それか、飼っている犬に食われる人もいるらしいのでそれもいい。犬好きアピールだ。嘘だ、そんなことは全然思わない。僕は死んだ後のことなんてどうでも良い。責任などない。野垂れ死ぬのがお似合いだ。

俺は地を這うTドラゴンだ。全然そんなこと思ってない。無難に生きたい。

 

俺は大人になったらどんなドラゴンになりたいのかな?

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先輩の結婚式に出席したらみんな元気でした。

みんな俺が見てないところで生きてたんだねえ。

「短歌をやっている」と言う先輩がいたので谷川電話先生の短歌が好きですと伝えた。歌人って先生呼びでいいのかな。

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ライブをやります。エミリーを見に来たと言ってください。

対バンは最高。

でも俺はエミリーしかやらないので。