朝9時に目が覚める。
昨日は朝からドラムのレコーディングをやったので、本当は10時まで寝たかったのだが、会社に4年も通っていると勝手に9時に目が覚めてしまう。
それなら会社には遅刻しないのかというと、定期的に遅刻している。
朝8時に起きないと会社には間に合わないからだ。
30分くらいツイッターとインスタを眺めて、30分くらい今日無料公開された「進撃の巨人」28巻を読む。
この漫画はとても面白いので3日で20巻以上読んでしまった。仕事の合間の10秒くらいの隙間に1ページ読むとかそういうことをやったりはしていない。いや、したかもしれない。
服を着る。顔を洗う。
1分くらいで出かける準備ができる。
LINEで友人から「やべえ、あのラーメン屋休みだわ」と連絡が来る。
すた丼にて急性ニンニク中毒で倒れて救急車に乗った友人である。
「じゃあもう俺流塩ラーメンでいいや」と返す。
10時に家を出て11時に渋谷に着く。
渋谷に行くとニンニクの友人がいて、俺流塩ラーメンに行く。
店員が「セットは何にしますか?」と言う。ニンニ君は「餃子で」と言う。店員が「わかりました」と言う。俺は「からあげで」という。店員は「からあげは大丈夫です」と言う。
え?
「からあげは大丈夫です」って何?
俺は「からあげは大丈夫ですって何?」と言う。ニンニ君も「わからん」と言う。
ずっとその意味を考えながら友人にベトナム出張の話をする。うっかり「ベトナムは色んな場所が臭かった」と言ってしまい、ニンニ君はでかい声で台湾出張で臭豆腐定食を出されて死ぬほど臭かった話を話し出す。俺は「この話やめよう」と言う。
結局何もわからず、ラーメンと餃子とからあげが運ばれてくる。からあげは確かに大丈夫だったらしい。でも餃子も大丈夫だ。
写真を撮り忘れる。でもなんとなく、俺流塩ラーメンはインスタに載せなくていいなと思う。
「俺流塩ラーメンは」って何だろう。
あと熟成塩って何だろう。
サイゼリヤに移動する。
今回はそもそも
〜〜〜(回想)〜〜〜〜〜〜〜〜
「サイゼリヤ飲みというのが流行っているらしいのでやろう」
「やろうやろう」
〜〜〜(回想終わり)〜〜〜〜〜
という会なのだった。
白ワインのデキャンタとチョコレートケーキとアンチョビキャベツとドリンクバーを頼む。メニューを見ると安すぎて「ベトナムと物価変わらんやんけ」と思う。
既に赤くなって上機嫌なニンニ君が「サイゼリヤは貧民のオアシスや!」と言うので、俺は「兄ひゃん兄ひゃん、デヒャンタひとちゅ」と前歯がない爺さんの真似をする。ニンニ君は何がそんなに面白いのかヒーヒー仰け反って笑う。
赤ワインのデキャンタとエスカルゴを頼む。
エスカルゴに無料の唐辛子を入れまくる。
「パン?一番高いのいったれ!」となり、ガーリックフランスパン(180円くらい)を頼む。
美味すぎる。
ニンニ君はもう手がイカれてガーリックフランスパンと一緒に皿までナイフでギコギコ切らんばかりの音がしている。パンが足りないがエスカルゴにニンニクが入っていてガーリックフランスパンの意味がないことに気が付き、あと安いので、フォカッチャを頼む。
「転職してえ〜」と俺が言う。ニンニ君も同意する。
「なんで会社を辞めるのか、理由を教えてくれ」と人事に言われ、辞める同期が「逆に残る理由あります?」と答えた話をして笑う。
俺はコーヒーを4杯お代わりする。普段なら胃腸がおかしくなるが、サイゼリヤの薄いコーヒーはなぜか何倍でも飲める。ワインも無限に飲める。腹がストリートチルドレンのように膨れる。
ニンニ君が、高校の友人ができちゃった結婚をした話をする。俺はこの話をもう10回くらい聞いている。「俺はこの話を10回くらい聞いた」と言うとニンニ君は「そうなんだよ、この話大好きなんだよ」と言い、もう一度話してくれる。デキ婚だと知った時の驚くリアクションをまたする。コロコロコミックの「グランダー武蔵」と「超速スピナー」の話も毎回してくる。最近はマトリックスの話もしてくる。「マトリックス、今上映してるよ」と言うと「いいね、行こう!」となるが、行かない。
俺はツイッターで見た列車砲のレゴブロックをする。線路を走る戦車みたいな見た目だった。1メートルくらいあるんだって、と言うと「レゴブロック良いね、買いに行こうぜ」となる。
会計をすると二人で2200円で爆笑する。
俺は小学生の時にレゴブロックの「ロイヤルキング城」と「フック船長の海賊船」を持っていて、それで一人で戦争をしてよく遊んでいたことを思い出す。たぶんどちらも1万円はしたはずで、祖父はよくそんな高いものを買ってくれたものだと思う。レゴブロックは人形遊びみたいなものだと思う。いわゆるシルバニアファミリーと本質は変わらない気がする。
ビックカメラに行くとレゴブロックがあり、当然大きいものは1万円くらいするし、そもそも置く場所がない事に気付いて一瞬で購買意欲がなくなる。スター・ウォーズのプラモデルが欲しくなるが、家に開けていない箱があったことを思い出し、「あれを組み立ててからにしよう」と思い、何も買わずに店を出る。
美味いコーヒー屋に近くに来たので、飲みに行く。結局、今日コーヒー5杯くらい飲んだな…と思う。帰りに蕎麦食おうぜ!となるが、休みだった。
「疲れたし帰ろうぜ!」となり、そのまま帰る。18時過ぎ。
電車で寝る。
バーガー・キングが駅前にできているが、一瞬迷ったあと素通りする。
家に着いて蕎麦を茹でて氷で冷やす。
鶏を細かく切って焼いて塩少し振ってちょっと酒を飛ばす。めんつゆと水とごま油とラー油を入れて沸騰させる。山椒をかけて、つけ蕎麦にして食う。
コストパフォーマンス、みたいな分母に対して一定以上の分子を求められることを仕事でよくやられる。頼まれた仕事をやるだけじゃなくて、それが分母に対して分子として適正であることを証明させられる。平日は一週間で7分の5を占めていて、そういうことを日常的にやらされると休日も同じような癖がつく。
「今日は何の意味があったのだろう」とか、「今日はやるべきことリストを埋めることができた」とか、「せっかくの休みだから」とかそういうことを考える。
昨日はレコーディングが出来た。分子は大きかった。明日も家の掃除とかをすると思う。
でも今日はたぶん分子が0だった。いや、もしかしたら「ストレスが解消できた」という成果かもしれない。でも体は疲れた。
求めてしまうのは、分母に限りがあるからかもしれない。分母が無限になれば、分子がいくつでも、パフォーマンスはいつだって0になる。
つまり…結論はよくわからない。
今日は何の成果も得られない一日だからそれでいい。
「からあげは大丈夫です」ってどういう意味だったんだろうと思い、寝る。