あらすじ
川を見ておにぎりを食べます。
本編
川を見ました。
近所にある、綺麗でもなく汚くもなく、川ですね。という川。
なぜ、川を見に行ったのかというと、その日は早く退社できたからです。歯医者に行こうと思って電話したら「1時間後なら良いよ」と言われ、暇だしたまには近所の川に行ってみようと思ったのです。
僕が勤めている会社は別にブラック企業とかじゃなくてむしろホワイト企業に近い方なのかな?という気がしていて、(それは僕にとってベストかどうかとはまた別の問題なのですが、後述)そんなマトモな会社では最近は残業規制がブームです。
電通の事件があってからは18時になると一旦消灯するようにもなりました。しかし5分経つと点灯するうえについでになぜかエアコンを切りやがるため、これはもしかしてただの節電なのでは、と最近気付きつつあります。
それはともかくとして、そういう背景がありつつも上司は昔の感覚で仕事をガンガン振ってくるので工数が圧倒的に不足している僕は「今月はもう残業時間の限界まで来てるんですよ~」と周りに100回くらい言い訳しながら、明日の不安を抱えつつ高速退社したのでした。
それで川。
よく海を見て「見ろこの大海原を、人間なんてちっぽけなものだ」とか
夜空を見上げて「見ろこの宇宙を、地球なんてちっぽけなものだ」とか
言いますけどもね、
川ではあんまりそういうことは聞かない。川もそれなりにでかいんだけど。
まあ海に関して言うなら、人間という生き物の祖先が海から来たものという理屈で、
宇宙に関しては、もちろん宇宙は我々生き物たちが暮らす地球を内包しているものなので、
恐らくはいずれも帰属意識を感じさせる、ということなのでしょうけど、
僕は知識として「生物は海から生まれました」と知っている時点でわざわざ海を見なくてもその知識をそれなりに実感できているイマドキの人間の為か、特にそういった種類の感動はしない。
ちっぽけだから意味がないとかそれ、もう過去の価値観だから。
うるせえ、給料上げろ、としか思わない。
川を見て川というビジュアルをそのまま感受しました。
川には川沿いがあります。
川とその目の前の集合住宅なんかの間にこう土手とか、散歩の道とかがあってですね。そこをゴールデンレトリーバーと散歩したりボールで遊ばせる老夫婦とか、小さい子連れの若い家族とか、幼稚園の帰りに寄った母親と園児の集団とか、 キャッチボールしてる大学生とか、いてですね。
ああ、俺が会社で暗くなるまで机に向かってる間に世界には光が降り注いでいるんだなと思い出した。
土日は休んでるので陽の光を普段浴びてない訳では無いんですが、俺、会社に人生を捧げてるんだって強烈な実感が湧いてきた。
会社にいるあいだは、朝出勤して席につき、夜遅くにフラフラと帰るまでずっと、まるで水中に居るかのような息苦しさを感じていて、それは空調の問題かもしれないし、精神の問題かもしれないし、その両方のせいかもしれないんですが。
俺はインドア派なはずなんですが。
家との違いはなんだろう?家には上司はいないから。
俺には単純に今の会社に向いていないんだろうなと思いました。
会社に向いてない人はたくさんいるんだろうな。
そしたら鳩が近寄ってきて俺に「兄ちゃん、いいもん持ってるじゃん」と言いました。鳩は俺のビニール袋の音とか見た目から餌を持っていると判断したのでしょう。
俺は確かにおにぎりを持っていて、しかもまいばすけっとで売ってる具が四種類も詰め込まれているやつだから鳩にはかなりご馳走なんだけど、これは俺にとってもご馳走なので鳩にあげることは出来ない。
これはバンプオブチキンの「ベンチとコーヒー」みたいなシチュエーションだなと思った。
格好つけて 強がって 理屈ばかりの俺です
川でおにぎりを食べてたら
— T-DRAGON crybaby (@ELT_ogipei) March 23, 2018
鳩が近寄ってきました
あいにく餌は持ってないよ
君らの役には立たないよ pic.twitter.com/7hC2GlmQVJ
鳩は、勿体ぶりやがって、という顔でどこかへ歩いて行きました。
ここはバーベキューしていいらしいから、また今度やろうねと言いました。
ライブをするのは割と好きなのでライブをします。今週末とか。
↓買っても多分、僕の利益にならないので試聴だけしてください。買うならEmily likes tennisを買ってください。